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【特報 追う】太宰生誕100年津軽に誘客 小説の世界と現在の魅力同時アピール

2008.9.1 02:14

 青森県は今年度から全国に津軽の魅力を発信する事業を展開していくことなった。その中心となるのが来年生誕 100年を迎える太宰治だ。平成22年には東北新幹線新青森駅が開業することもあり、関係者は伸び悩む観光客の誘致に向けて、今なお根強い人気を誇る地元出身の大作家に期待を寄せている。(福田徳行)

 県によると、東青地域(東津軽郡、青森市)と五所川原市を除く津軽半島への観光客の入り込み数はここ数年減少傾向にあり、平成13〜17年の伸び率でみると、東青地域は93.7%、津軽半島は98.4%と頭打ち状態。

 太宰の生誕 100年となる来年は、東北新幹線八戸−新青森開通の前年に当たる。そこで「日本はもとより太宰は台湾、韓国、中国などでもファンが多い。太宰を活用して津軽半島の知名度アップを図る絶好の機会」(中島久宜県東青地域県民局長)ととらえ、誘客に向けたさまざまな事業に取り組むことになった。

 「現代の『津軽』の旅推進事業」と銘打ったこの取り組みの特徴は、代表作の小説「津軽」をモチーフにした点。今年の大きな目玉事業となるのが、青森県民を対象にした、太宰が故郷・津軽への旅を基に書いた代表作にちなんだ新しい旅のプランの募集だ。

 太宰は昭和19年、小説の執筆のため当時の蟹田、三厩、金木など津軽地方を約3週間かけて回った。この旅から60年以上たった現在の津軽を訪れようという人たちに、太宰とは違った今の「津軽」の魅力を伝えるため、県民からお薦めコースを提案してもらい、誘客促進につなげるのが目的だ。募集しているのは津軽半島に1泊以上宿泊し、半島内2カ所以上を周遊する旅行コース。

 さらに来年は、県外の人たちを対象に同じく津軽半島に1泊以上宿泊し、お薦めコースや津軽にちなんだ場所2カ所を訪れた紀行文「私の津軽」を募集する。

 県内と県外の人たちを対象にしたこの2つの事業の狙いについて、中島局長は「旅行スタイルが自分探しの旅、その地域ならではの魅力を味わえる『地旅』に変化している。太宰の語りかけるような文体が癒やしを求める、自分探し、地旅にマッチしていると思う。団塊世代の夫婦がきずなを強める旅としてもアピールしたい」と説明する。

 このほか、同事業では今年と来年の2カ年で観光施設、宿泊施設、タクシー、バスの運転手らを「津軽」と太宰のガイドとして育てる研修を実施。今年度の受講者は約30人を見込んでいる。さらに、ガイドが観光客向けに開くミニ講座の資料や観光客が手軽に使えるパンフレットも作成する。「比較的、集客力の弱い津軽半島に太宰を絡ませることで津軽のイメージアップを図りたい」と中島局長。

 東北新幹線新青森駅開業を2年後に控え、観光客を迎える力(ホスピタリティー)も大きな課題だ。中島局長は力説する。「こうした事業を通してホスピタリティーのポテンシャルを上げたい。また、自分たちの地域を見直し、自信を持ってもらいたい。そのことが地域の集客力向上にもつながる」

 太宰の代表作を通して、ゆかりの地「津軽」を全国にPRする−。この事業の成否は何より県民の「もてなしの心」にかかっている。

      ◇

 ■太宰治 本名・津島修治。明治42(1909)年6月19日、青森県金木村(現五所川原市金木)に県下有数の大地主の6男として生まれた。小学校に入学する前から小作人の娘で子守役だったタケから文字を教わり、読書に親しんだ。

 東京帝国大時代から自殺未遂を繰り返し、昭和23(1948)年に玉川上水(現東京都三鷹市)で愛人、山崎富栄と入水自殺し、39歳で生涯を閉じた。2人の遺体が発見されたのは奇しくも太宰の誕生日である6月19日。この日を「桜桃忌」(おうとうき)として三鷹の寺には毎年、多くの太宰ファンが訪れるほか、故郷・五所川原市金木でも生誕祭が行われている。金木の生家「斜陽館」は国の重要文化財に指定されている。

 主な作品に「走れメロス」「津軽」「斜陽」「人間失格」など。

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