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【青森からの挑戦】(下)規格外野菜をブランド品に
実家の農家を継ぎ、知人の野菜仲買業を手伝った経験が、柏崎進一社長とその会社、農業生産法人「柏崎青果」(おいらせ町)の礎となっている。
「商品にならないといって捨てられる規格外の野菜を目の当たりにして、もったいないなあと…。何とかうまく活用したかった」
開発途上国が貧困問題に直面する中、日本人に最も問われているのが「モッタイナイ!」の精神。この考えを大切に、ゴボウなどの野菜の出荷前加工で排出される端材を、乾燥野菜や粉末といった別の形の商品として生かすことに取り組んでいる。商品化は、そのままゴミの減量化に直結する。
モッタイナイ精神から生み出された加工品は、青森県が収穫量全国1位のナガイモ、ゴボウ、ニンニクを使った真空パック詰めや乾燥品などだ。
「捨てるよりも付加価値を付けて売れば生産者の意欲もわく」と柏崎社長。
加工品の中でも特に力を入れているのが「黒にんにく」。文字通り中身が真っ黒のニンニクだ。
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収穫したニンニクを1カ月ほど乾燥させた後、高温多湿の高温庫で約1カ月間、発酵・熟成させる。ニンニク特有のにおいがほとんどなくなり、ポリフェノールの含有量が生ニンニクの約5・8倍(日本食品分析センターの試験結果)と栄養価が高いのが特徴だ。
独自の製法によって、他業者の黒にんにくと比べて糖度が高く、甘酸っぱいフルーティーな味わいに仕上がり、デザート感覚で食べることができるという。
開発のきっかけは「ニンニクの取扱量が増える中で、傷が付いたり規格外で商品として出荷できない『すそもの』を何とか加工したかった」から。平成18年10月から佐々木甚一前弘前大教授と研究を始め、試行錯誤の末、昨年5月に「おいらせ黒にんにく」のネーミングで商品化に成功した。
「最初はなかなか売れなかったが、駅売店などで売り込むうちに徐々に評判になった」(柏崎社長)。県内のキオスクなどJR売店や空港の売店、インターネットで販売し、沖縄県からも注文があるという。リピーターも増え、今や同社の主力商品に成長した。
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ニンニクといえば青森県田子町が有名だが、同県のニンニクの収穫量1万4200トン(18年)のうち、8割がおいらせ町をはじめとする上北郡、十和田市、三沢市の上十三地域。「田子のニンニクだけが県産ではない。もう1つのブランド化を目指したい」と意気込む。使用するニンニクのほとんどが上十三地域産というのも、こうした理由からだ。
生まれ育ったおいらせ町に根を下ろして事業を展開しているからこそ、古里を元気にしたいとの思いが強い。黒にんにくのパッケージにも同町の原風景の絵をあしらった。
「地域から何かを発信していくためには地域を売り込むことが重要。商品だけじゃなく、町そのものもPRすることが食を通じたまちおこしにつながる」とキッパリ。同時に「食の安全・安心が問われる中、消費者に安心感を与えることにもつながる」と言い切る。
2年後には東北新幹線新青森駅が開業する。柏崎社長は「黒にんにくを首都圏などで積極的にPRするためにも流通システムをさらに整備していきたい」と意欲を示す。(福田徳行)
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【用語解説】柏崎青果
平成3年3月設立。資本金2000万円。生産・加工・流通の確立をモットーに事業を展開。さらに「健康な土づくり」に取り組むとともに、産業廃棄物処理会社を立ち上げ、資源循環型リサイクル社会の構築を目指している。(電)0178・56・5030。ホームページはhttp://www.aomori96229.jp/