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【青森からの挑戦】(上)車いすで乗れる軽の四駆 大手になく必要とされるものを

2008.5.16 03:42

 「車いすに乗ったままで乗降がスムーズにでき、軽自動車なのに快適な車内空間」。4輪駆動の軽乗用車を改良した、業界初の福祉車両「イプラス4WD」とその専用車いすが注目を集めている。

 ボタン操作1つで車両の後部が電動で8.5センチ下がるようにした。長さ約1.5メートルのスロープが、緩やかな12度の傾斜になり、車いすの乗降が楽にできる。独自に開発した専用の車いすは、油圧式ダンパーを付け、レバーを上下させると座面と背もたれが最大14センチリクライニングする。この工夫で乗降の際に頭を下げたり姿勢を変えたりする必要がなくなり、足元のスペースもゆったりと確保できるようになった。すっぽり車内に収まった車いすは3カ所の金具で固定。車窓からの景観にも配慮し、開放感を演出した。

 「後部のハッチを開けてボタンで車高を下げ、スロープを引き出して車いす利用者を車内に乗せる。この間、わずか1分程度。冬場の寒い時期には特に重宝すると思う」と、開発した境谷自動車(青森県つがる市)の境谷兼弘社長は胸を張る。

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 車いすのまま乗降できるスロープタイプの乗用車は他社も販売しているが、4輪駆動の軽自動車での製品化は、構造上の問題から難しいとされていた。

 しかし、そこは挑戦意欲が旺盛な境谷社長。「青森県内の福祉施設から冬道でも安心して乗れる福祉車両の要望があり、どのメーカーも出していない軽の4WDにこだわった」と3年半かけて完成させた。

 車いすの開発にあたっても、安全性と快適性にこだわり試行錯誤の連続だった。当初はタイヤが上下するような仕組みを考案した。しかし、弘前大教授の「構造をシンプルにした方がいい」とのアドバイスを受け、上下式をやめ油圧式に切り替え、軽量化にも成功。だれにでも簡単に快適に使える車いすを実現させた。「大手メーカーにないもので、世の中のためになるものを考えた」と言い切る。

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 昨年6月ごろから販売をはじめ、これまでに県内外に6台納車した。購入した同県鶴田町のグループホームの担当者は「乗り心地も良く、車いすの出し入れも楽。入所者の評判もいい」と使い勝手の良さに太鼓判を押す。同10月には東京ビッグサイトで開かれた国際福祉機器展にも出展し、注目を集めた。

 お年寄りや体の不自由な人たちは、生活環境の違いから社会との接点が疎遠になりがちだ。「遠慮せずにどんどん外に出て視野を広げ、ストレスを発散してほしい。この車がその手助けになれば」と境谷社長。

 障害者、高齢者を取り巻く社会環境が変化する中、行政と民間が一体となった福祉・介護施策の充実の必要性が叫ばれている。境谷社長は「世の中が何に困っていて、何を必要としているのかを考えればいい。必要とされるものを作ることに意味がある。福祉分野にこれからもチャレンジしていきたい」と意欲的だ。すでに頭の中には第2のアイデアが生まれている。

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 中央と地方の格差が叫ばれる中、ものづくりを通じて地方を活性化させようと頑張っている企業がある。特徴ある優れた技術や製品で、地域経済の牽引(けんいん)役となっている青森県内の中小企業を紹介する。(福田徳行)

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【用語解説】境谷自動車

 昭和43年8月設立。資本金300万円。事業内容は自動車板金塗装、車検・整備、自動車保険、新車・中古車・リース販売、レッカー移動など。イプラス4WDの価格は約250万円(車いす込み)。(電)0173・25・3000。ホームページはhttp://www.sakaiya3000.com

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