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【特報 追う】攻めの農漁業防戦一方 原油高で青森
原油価格の高騰が全国の農林水産業に大きな打撃を与えている。石油情報センターが19日発表した石油製品の一般小売価格(東北6県平均)は、レギュラーガソリンが1リットル 154.3円▽軽油が同 132.7円▽灯油が18リットル1707円−。「攻めの農林水産業」を掲げる青森県では、三村申吾知事が水産庁の山田修路長官に直接陳情を行うなど、対策に本腰を入れ始めた。(米沢文)
県あおもりの「冬の農業」推進チームは自然エネルギーを活用したハウス栽培の普及に取り組んでいる。同チームによると、県内のハウス暖房の3分の1は石油が主体。農家の経費の約2割を占めている。
県では昨年から暖房を石油から廃油や薪、温泉熱などの代替エネルギーに切り替える農家が出てきた。しかし、経済的に余裕のない多くの農家は加温をやめたり、作物の回転数を減らしている。八木橋誠県副参事は「ハウス栽培は関東や九州でも盛ん。加温が1日中必要な東北は不利ですね」とため息をつく。
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今月19日朝、板柳町のトマト農家、佐藤忠さん(67)を西北地域県民局の職員が巡回に訪れた。
佐藤さんのハウスは温泉熱と電熱によって、9月下旬から5月下旬にかけ昼間は20度、夜間は15度に保たれている。職員は夜間の温度管理方法やハウスに破れがないかなど、23項目にわたってチェックした。
佐藤さんが冬の栽培を始めたのは約20年前。熱源を灯油と温泉で悩んだという佐藤さんは「温泉を掘るのにお金はかかったけど、今になってみれば正解。まさかここまで灯油が高くなるとは想像もしなかった」と話す。
今年1月からハウスの暖房を灯油から廃タイヤに切り替えたのは、弘前市薬師堂のミニトマト農家「まごころ農場」。専用ボイラーや配管の設置に約2400万円(3割を県が助成)をかけた。
経営者の斎藤靖彦さん(48)は「一昨年から灯油代が急に高くなった。廃タイヤを使うようになって、暖房費は半分以下になった」と話す。廃タイヤは業者から1本10円で購入。1日に約 100本を使っている。
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工夫の余地があるハウス農家に比べ、より深刻なのは、船の燃料に軽油や重油を使う漁業関係者だ。県漁業協同組合連合会指導課は「燃料高騰は世界的な動き。抜本的対策の手だてがない」と半ばあきらめ顔。
原油高騰に加え、大型クラゲの出現が話題になった昨年、国は「経営体質強化緊急総合対策基金」(51億円)を全国漁業協同組合連合会に設置。燃油の購入や管理の共同化、共同探索船・運搬船の導入など、省エネに取り組む漁協などへの半額助成を実施した。今年度は残った基金約11億円を使って、協業化などの省エネ対策を推進している。
県漁連が(1)冬場の出船日数の減少(2)日照時間の短縮により倍増する集魚灯の燃料量(3)大型クラゲの出現−で、一番打撃を受けていると教えてくれたのは、遠方まで船を走らせないといけないイカ釣り関係者だ。
小泊漁協(中泊町)の佐藤博組合長(66)は「油代が高くなったのに、イカの値段は安いまま。みんな悲鳴を上げてますよ」と話す。1月末には九州に行き、6月までイカの動きに合わせて漁を続け、日本海を北上する予定だ。
佐藤さんの場合、19トンの漁船で年間約1500万円の燃料費がかかり、収入の3〜4割は燃料費に消える。漁場に行くまでの船の速度を落としたり、集魚灯のいらない昼釣りを増やすなど四苦八苦の毎日だ。
かつてない原油価格高騰は東北の厳しい寒さに追い打ちをかけている。