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【特報 追う】決意を胸に起業の夢一歩 補助金制度活用 秋田

2008.10.18 02:21

 財団法人あきた企業活性化センターが県内での新たな企業の創出を促進し、地域経済の発展と雇用の確保を図るため、新規創業を目指す人を対象とした20年度創業支援補助金の第2回目交付対象者5人が決まった。このうち、インターネットで競走馬の動画配信を始めたトラストラインの児玉吉光代表(36)と、県内初の本格的な屋内フットサルコートの運営に乗り出したTSPの佐藤智代表(34)の取り組みを紹介する。(木村庄一)

 能代市西大瀬にあるごく普通の民家。「ここが事務所です」と児玉代表が案内してくれたのは、自宅2階の6畳間だった。中には、デスクトップ型のパソコンとサーバー、それに業務用のカメラがあるだけだ。

 高校卒業後、神奈川県内の会社に就職したが、その後、帰郷。平成18年春から能代市の映像制作会社に勤め、全国各地で開かれる中・高・大学バスケットの試合の映像を撮影、販売するなどしていたが、昨年11月に突然、会社が廃業。「不景気の中で再就職先を探すより、これまでの経験を生かして自分で会社を興そう」と決意した。この時、長姉(39)が競走馬を共同所有する一口馬主をしていたことから、「普段、なかなか見に行くことができない、牧場にいる競走馬の様子を撮影し、一口馬主らに動画配信することを思いついた」という。

 今年2月に創業するとともに、北海道新冠町にあるコスモヴューファームと交渉を開始し、全面的な協力を取り付けたことから、3月末から撮影を開始。以前、同じ会社に勤務していた次姉、るり子さん(37)に編集を手伝ってもらうなどし、7月から一口馬主への動画配信をスタート。その後、補助金交付を申請した。

 撮影は、フェリーと車を乗り継いでの2日がかりで、交通費や食事代を含めた経費は約3万円。これを月3〜4回行っており、配信料は月額1500円だ。このほか、DVD(1枚5000円)の販売も手掛ける。児玉代表は「会員数はまだ数十人程度だが、ネット事業はいったん火が付けばすぐに広がるため、採算は十分にとれるはず」と胸を語る。来年1月からは茨城県鉾田市にあるビッグレッドファームにも入る予定。また、スポーツ映像の撮影・販売も行っており、「来年末までに年商約2100万円を目指したい」としている。

 一方、「秋田から世界に羽ばたくサッカー選手を輩出させたい」と、9月15日に秋田市郊外にあるJR羽後牛島駅前に「フットサルポイント秋田」をオープンしたのが元Jリーガーの佐藤代表だ。

 秋田市出身だが、「サッカーをやるため」に青森県内の高校に進学。卒業と同時に浦和レッドダイヤモンズに入団した。だが、膝の故障などから、一度も公式戦のピッチに立つことなく、3年で退団。秋田の高校や東京のスポーツ専門学校でサッカーの指導に当たった。

 「小さいときからサッカーしかやってこなかったため、サッカー関連以外の仕事は考えたこともなかった」という佐藤代表。その後、全国でフットサルコートの運営を行っているJFCスポーツバンガードに入り、秋田の市場調査を行ったところ、競技人口割合が全国でもトップクラスで、専門施設がないことが判明。「地域貢献もできる企業を目指し、フランチャイズ加盟での起業を決意した」という。

 今年4月に創業。羽後牛島駅前にあった地元事務機器会社の倉庫を借りて改装し、ゴムチップ4センチ、毛先1.5センチの本格的な人工芝コート2面を造った。総事業費は約4000万円で、うち金融機関から3500万円の融資を受け、その後、人件費の一部として補助金を申請した。

 佐藤代表は「秋田では冬場、雪が降るため、高校などでは体育館内での練習しかできない期間がある。この間、人工芝の屋内コートで練習すれば、関東地区の選手に負けない技術を身につけることができるはず」と話す。コート貸し出しとサッカースクール。さらに、イベント会場としての貸し出しなどを予定しており、「21年度末までに年商3200万円を目指す」という。

 妻と娘を埼玉県内に残しての“単身赴任”だが、「夢をかなえるために頑張りたい」と自らに言い聞かせるように語る。

 会員は入会金1000円、登録料6000円で、コート料金(1時間)は平日4300円〜5800円、土日祝日6800円。このほか、シニア、学生、レディース割引もある。

                   ◇

 ■創業支援補助金 秋田県では平成12年度から企業支援センターを通じて新規創業者を対象にした補助金交付制度をスタート。17年度からあきた企業活性化センターに業務を移管した。補助対象は事業拠点費、人材育成費、広告宣伝費及び新たに雇い入れる従業員の人件費で、限度額 200万円。17年度以降の交付は計54件で、業種別ではサービス業、飲食業、卸小売業、介護、学習支援業などが多く、女性の起業が目立つという。

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