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【男鹿水族館の挑戦】(下)ハタハタ第2の目玉に
■展示改良、アクセス向上で魅力アップ
秋田市方面から「男鹿水族館GAO」に車で行く場合、2つのルートがある。国道 101号から県道男鹿半島線に進み、半島をぐるっと回るルート。もう1つは、 101号から半島中央部を斜めに横断する「なまはげライン」(総延長約10.3キロ)に入り、男鹿温泉郷〜戸賀湾を経由するルートだ。
男鹿半島線は、日本海を見下ろす切り立った岩場沿いを走るため景色は抜群だが、アップダウンがあるほか、道幅が狭く、くねくねと曲がっている。このため、観光バスの運転手たちでさえ敬遠し、「夏場はともかく、道路が凍結する冬場は怖くてできるだけ走りたくない」と地元の人たちも口をそろえる。
一方、なまはげラインは、県が総事業費69億7900万円をかけて整備し、平成10年4月に開通。道路は広く、ほぼ一直線で、男鹿温泉郷へ行く途中には11年7月にオープンした実物大のなまはげ人形などを展示する男鹿市の「なまはげ館」と、なまはげの実演を見せる「男鹿真山伝承館」がある。さらに、男鹿温泉郷から約6キロ先には日本海に向かって突き出た夕日の名所・入道崎もあるなど、観光スポットがめじろ押しだ。
このため、「なまはげラインができてからは、夜、男鹿温泉郷に観光バスなどで直行し、翌日、入道崎となまはげ館だけを見て、そのまま青森県方面へ移動するツアー客が多くなった」(観光業者)。この影響で、今春には半島南側にある鵜ノ崎温泉にあった旅館も閉館に追い込まれており、「同じくコースから外れたGAOの入館者減少に歯止めがかからないのも、それが遠因では」と男鹿市観光商工課の担当者は分析する。
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「このまま放置すれば、GAOはもちろん、西海岸から観光客がどんどん離れてしまう」。こうした関係者の悲鳴にも近い声を受け、市では今年5月からGAO前の戸賀湾〜門前間を結ぶ定期コース(1日2往復)の運航を新たに開始した秋田湾観光(秋田市)に対して、年間 210万円の補助金の交付を始めた。同社ではこのほか、戸賀湾を発着点とする遊覧コース(1日5便)も運航しており、利用者は5月が1420人、6月が1376人となっている。
一方、県とGAOでも入館者減に歯止めをかけるため、三重・鳥羽水族館の元副館長で水族館プロデューサーの中村元さんを委員長とする「魅力アップ検討委員会」を5月に設置。県内外を対象にアンケート調査を実施するとともに、「私が見たい男鹿水族館」の提案を募集。その結果、6月末までに 484件の応募があり、これを検討した結果、(1)国内唯一のハタハタ展示コーナーをもっと盛大に(2)秋田の森と川の魚展示コーナーをもっとリアルに再現(3)釣りができる水槽の設置−の3案が採用された。
現在のハタハタの水槽は幅3メートル、奥行き4メートル、深さ 1.7メートル。しかし、ハタハタはもともと深海の砂の中にいるため、水槽内も暗く、入館者がフラッシュ付きカメラで撮影することもできない。このため、今後は水槽内を少し明るくしたり、藻の中にいるハタハタや藻にブリコ(卵塊)が付いているもののほか、砂に潜っている状態を別の小型水槽で真下から見せるなど、もっとバラエティーに富んだ展示を目指す。また、森と川の魚展示コーナーについては、野鳥が来たり、虫が飛んだり、その虫を魚が食べたりする姿が見られるように改装する計画で、「これらを豪太に続く第2の目玉とし、誘客を図りたい」と堀幸夫館長は意欲を燃やす。
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一方、県では現在、男鹿温泉郷から戸賀湾を経由してGAOに至る急な坂がある男鹿半島線のアクセスをよくするため、バイパス工事(全長 2.6キロ)を進めており、今年10月には開通する予定だ。このほか、戸賀湾を見下ろす八望台〜三ノ目潟間( 4.8キロ)と、なまはげ館近くの真山神社〜門前・五社堂間(10.3キロ)の両トレッキングコースの整備も進めており、「GAOだけでなく、男鹿半島全体を面としてとらえ、県と市、そして民間が一体となってもり立てていきたい」(県観光課)としている。
しかし、「いくらアクセス道路などを整備し、再リニューアルしたとしても、ハタハタという地味な魚が“客寄せパンダ”になるのか。また、豊かな自然と海に囲まれた県民が野鳥や虫、川魚を見に行くとは思えない」(秋田市内の会社員)との厳しい声もあり、今後の“魅力アップ作戦”の成否が注目される。(木村庄一)
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県では、GAOの次期指定管理者(21年4月から5年間)の公募を7月末から開始。12月末までに決定する予定だ。
だが、今後も入館者の減少に歯止めがかからず、万が一、現在の管理者である三セクの「男鹿水族館」が選定から外れることになれば、赤字経営のために三セクを解散し、昨年4月から民間に管理委託された秋田市のセリオンと同じケースとなる可能性もあり、関係者は「それだけは絶対に避けたい」と話している。