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【男鹿水族館の挑戦】(上)シロクマ・豪太の花嫁捜し

2008.8.10 02:23

 日本海に大きく突き出た秋田・男鹿半島にある「男鹿水族館GAO」。ここの最大の目玉は、他の水族館のようなシャチやシロイルカ、はたまたクラゲでもない。シロクマ(ホッキョクグマ)の「豪太(ごうた)」だ。「動物園でもないのに、なぜ水族館にシロクマなのか」。こう思われる人も多いかもしれないが、神奈川県横浜市の八景島シーパラダイスに次いで全国の水族館で2番目にシロクマが導入されるまでには紆余(うよ)曲折があった。

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 旧水族館は、男鹿半島活性化事業の一環として、県が現在のGAO前の駐車場に建設し、昭和42年10月にオープン。ピーク時の49年には年間約48万人が入場する人気ぶりだったが、平成13年には年間12万人を切り、14年8月末で35年間の歴史に幕を閉じた。

 新水族館建設に先立ち、県では県民を対象に「どんな生き物を展示したらよいか」とのアンケート調査を実施。その結果、シロクマが上位にランクされたという。これらを踏まえた「新水族館建設基本計画」で新施設のコンセプトを「『育(はぐく)みの海〜生命を育てる水宇宙』豊穣(ほうじょう)の海・秋田の海から世界の育みの海へ〜」とし、魚類のほか、極地を代表する生き物として北のシロクマ、南のペンギンを導入することに決定した。

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 「当時は、地球温暖化問題も今ほど騒がれていなかった。だがその後、世界的にクローズアップされ、シロクマの希少価値が高まって展示施設も増えた」(県観光課)ことなどから、その入手は困難を極めた。

 こうした状況の中、当時の県観光課の担当者が県議会常任委で「(シロクマの確保が水族館の)開館に間に合わなければ、着ぐるみを着る」と発言。さらに、報道関係者に質問された寺田典城知事もこれを否定しなかったことから、“騒動”に発展。結局、シロクマ不在のまま、GAOは16年7月13日にオープン。最終的には、男鹿市の佐藤一誠市長が着ぐるみを着て式典に出席し、騒動に終止符を打った。

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 同年9月、カナダのケベック動物園が保護した野性のシロクマの子供2頭(ともに雄)の引き取り手を公募。県とGAOはすぐに交渉を開始した。翌10月にはケベック動物園の副園長もGAOを視察に訪れ、「ここならOK」と快諾。だが、このときに動物園側が出した条件は「(将来、ペアリングができる)雌がいること」だった。このため、県ではさまざまなルートを使って雌を探したが見つからず、結局、2頭はオーストラリアのシーワールドへと引き取られることになった。

 一方、シーワールドでは、ケベック動物園とは別に、ロシアのモスクワ動物園と交渉を進めており、入手が決まったシロクマの子供1頭(雄)をGAOに無期限貸与してくれることになった。これが豪太だ。堀幸夫館長は「豪太の来館が決まったときは、本当にうれしかった」と振り返る。

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 待望の豪太が来館したのは17年6月8日。すぐに来館者の人気者となり、押しも押されもせぬ「GAOの顔」となった。来館時の豪太は1歳半で、体重 150キロだったが、4歳半を過ぎた現在では 330キロに成長。今年4月には発情期も初めて確認された。

 「一度、前足をちょっとけがしたことがあるだけで、生育状況は極めて順調」と飯田新二飼育担当。だが、種の保存に必要不可欠な「花嫁がなかなか見つからなくて」と豪太の将来を心配する。

 現在、日本国内には24園に計50頭のシロクマがいるが、他施設に出せる余剰個体はないという。このため、GAOでは「国内で新たに生まれてくる雌を譲り受けた上で、じっくり時間をかけてペアリングさせたい」(堀館長)としており、15年と17年に繁殖に成功している北海道札幌市の円山動物園にターゲットを絞って昨年秋から交渉を開始。今年9月にも再度、陳情に訪れる予定だ。

 堀館長は「GAOは豪太で持っていると言っても過言ではない。とにかく1日でも早く花嫁を迎え入れ、2世誕生にこぎつけたい」と熱い思いを語る。

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 今年7月でリニューアル・オープンから5年目を迎えたGAO。その現状と今後の課題への取り組みなどを3回にわたって紹介する。(木村庄一)

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【用語解説】シロクマ(ホッキョクグマ)

 北極圏に生息する陸上最大の食肉動物。体長は2〜3メートルで、体重は雄で 350キロ〜 650キロ、雌はその半分ぐらい。セイウチやアザラシなどを捕食する。体毛は一見、白く見えるが、実は透明で、毛の中心は空洞になっており、保温と浮力に役立っているとされる。国際自然保護連合(IUCN)により「絶滅の恐れがあり、優先的な保護が必要な動物」として2006年版「レッドリスト」に掲載された。

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