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【脳を守る】(574)なぜキレる?「忍耐力」と脳の関係

2008.11.20 03:10

 徳川家康は「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」とうたったといわれ、信長の短気、秀吉の人懐こさ・実行力といつも対比されます。幼少時から織田信秀、今川義元の人質として苦労した家康の体験が、このような忍耐強い性格を形成させたのかもしれません。いったい、忍耐強さは脳とどのような関係にあるのでしょうか。

 人間の性格が脳のあり方によるかどうかは議論のあるところです。しかし、交通事故によって脳が傷ついてから、人が変わってしまった、などという話はよく耳にします。たとえば、事故以前は温厚な性格であった人が、怒りっぽくなって暴力をふるうようになった、活発だった人が何をする気もなく、ただぼんやり毎日を過ごしている、ということはよくあります。このような話は、脳が人間の性格形成に関係している大きな証拠といえます。今回は、人格と脳との関係、とりわけ「忍耐力」と脳の関係について考えてみましょう。

 交通事故や脳卒中の後遺症で人格が変わってしまったという例は、常に「前頭葉」の障害が関係しています。前頭葉は意欲や意志と深くつながっており、ここが傷つくと、やる気がなくなったり、簡単に興奮したりするようになります。前頭葉の中でも「前頭前野」と呼ばれる場所は、自分の感情を抑制する大切な役割を持っており、この働きが低下すると忍耐力がなくなり、いわゆる簡単に「キレる」ということになるようです。最近の子どもたちが、容易にキレて人を傷つけたりするのは、前頭前野の働きが落ちているからでしょう。

 家康の前頭前野はかなりよく発達して、いい働きをしていたようです。どうすれば何事にも辛抱強く耐える忍耐力が備わるかはよくわかっていません。ただ家康の例から分かることは、忍耐力は先天的に備わるものではなく、その人の人生の中で、ある環境の下、前頭前野の発達により備わってゆくものといえます。

 家康を見習って、じっと我慢して、前頭前野を鍛えて忍耐力を身につけることも現代人には大切なことかもしれません。

(和歌山県立医科大学脳神経外科板倉徹)

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 このコーナーでは、読者からのご意見、関心のあるテーマを募集しています。〒641−0012 和歌山市紀三井寺811の1、県立医大脳神経外科教授、板倉徹氏(FAX073・444・1178)までお寄せください。

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