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アンコール遺跡修復へ作業車 「チーム高松塚」石材など撤去
カンボジアの世界遺産、アンコール遺跡群にある西トップ寺院(9〜14世紀)が、木の侵食で崩壊の危機性が高いことを受け、高松塚古墳の石室解体機具を開発したクレーンメーカーが無償提供した作業用車両が現地に到着。寺院から崩落した石材の除去などの作業を始めた。同遺跡の保存・修復事業は奈良文化財研究所が主体で、石室解体を担当した石工の左野勝司さんも参加することにしており、左野さんは現地で石工養成も行う意向。国宝壁画を救った「チーム高松塚」が、海外の遺跡修復とともに人材育成にも力を尽くす。
西トップ寺院は、石造寺院「アンコールワット」の北西約3キロに位置。高さ8メートル、幅24メートルの中央祀堂(しどう)がそびえ、同研究所が平成10年から発掘調査を行っている。
熱帯雨林に囲まれた同寺院は、中央祀堂の頂上部に高さ約8メートルの木が生えるなど、劣化が深刻化。木は、寺院の倒壊を防ぐため3年前に伐採されたが、石材のすき間に入り込んだ根が腐って空洞ができたため、今年5月下旬に頂上の一部が崩れ、寺院を構成していた60センチ大の石材約30個が崩落した。
他の部分も崩壊寸前の状況で、修復には石材を移動させるクレーン車などが必要となったことから、クレーンメーカー「タダノ」(本社・高松市)がクレーン車など3台を無償提供。今月、作業用車両の寄贈式が寺院前で行われた。現地ではさっそく、贈られた高所作業車などを使って崩落した石材の除去作業などが行われ、威力を発揮した。
日本側調査団は13日にいったん帰国。8月に高所作業車を使って寺院頂上部などを含めた実測調査を行い、12月ごろから大型クレーン車などで頂上部にある崩落寸前の石材を取り外すことにしている。
調査団長の杉山洋・同研究所飛鳥資料館学芸室長は「頂上部の石材が落下するなど倒壊の危険性が高く、修復を急がないといけない」。左野さんも「修復作業には6、7年かかるだろうが、カンボジアの人たちの手で作業を行うことで、技術を継承しないといけない。現地に石工養成学校をつくって後進を育てたい」と意欲をみせていた。