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胡錦濤主席・奈良来県 知事と会談、友好確認 チベット問題でデモも

2008.5.12 02:58

 中国の胡錦濤国家主席が、中国のトップとして初めて来県した10日、奈良市の県新公会堂では荒井正吾知事らと会談。胡主席からは、はるか奈良時代に日中両国の橋渡しをした僧侶・鑑真の胸像が贈られ、改めて友好を確認し合った。一方、県警では国賓の来県にあたり、3000人態勢で訪問先や沿道などを警戒し、街にはピリピリムードも。奈良市内では同日午後、チベット問題をめぐる大規模な市民デモも行われた。

 胡主席と荒井知事の会談は約20分間にわたって行われ、冬柴鉄三国土交通相も同席。笑顔を交えながら、終始なごやかな雰囲気で行われた。

 荒井知事は、苦難を乗り越えて唐から渡航した鑑真の功績を取り上げ、奈良と中国との長い友好関係を強調。雨模様となったこの日の天気について「鑑真和上が『(渡航を)5回も失敗した苦労をくんでくれ』といっているように思う」とユーモアを交えて語りかけ、笑いを誘った。

 一方、胡主席は、奈良について「23年前に来たことがあるが、長い歴史に深い印象をもった」とあいさつ。この日訪問した法隆寺(斑鳩町)と唐招提寺(奈良市)を「中日両国の文化交流のシンボル」と位置づけ、「奈良の人々は長きにわたり、中日友好に積極的に取り組んだ。そのことを高く評価したい」と話した。

 また、冬柴国交相は「(2年後の)平城遷都1300年祭にはぜひ来県してもらい、両国で祝いたい」とアピール。会談の終わりには胡主席から荒井知事にブロンズ製の鑑真胸像(高さ70センチ、幅50センチ)が贈られ、その後食事もともにした。

 また、この日案内役を務めた法隆寺の大野玄妙管長は、胡主席について「穏やかな印象の方で、伽(が)藍(らん)配置や聖徳太子に関してよく勉強されていた」。唐招提寺の松浦俊海長老は「主席が望んで鑑真和上に参詣されたことは、今後の日中友好と世界平和に大いに資するものと信じています」とコメントした。

     ◇

 県警では胡錦濤主席の来県にあたり、県警の警察官約1200人に加えて、他府県警から計約1800人の応援を受け、訪問地周辺の警護や交通規制などを実施。逮捕者や大きな混乱はなかった。

 一方、チベット問題をめぐっては10日午後、大阪府などの市民有志でつくる「チベットの人権保護を訴える会」の呼びかけに応じた約200人が、奈良市の市街地でデモを行った。

 一行は降りしきる雨の中、「FREE TIBET」と書かれた横断幕やチベットの旗を掲げ、JR奈良駅前を出発。途中「チベットに平和を」「宗教の自由を」などとシュプレヒコールを何度も繰り返しながら、猿沢池まで約1キロのコースを行進した。同会代表の男性(34)は「日中友好のムードに流されず、チベットの人権問題など厳しい現実にも目を向けるべきだ」と訴えた。

 また、同市の十輪院(橋本純信住職)で営まれたチベットの犠牲者追悼法要では、体にチベットの旗を巻いた参拝者が熱心に手を合わせる姿も見られた。

 過去4年間、毎年チベットを訪れたという広島市の僧侶、林興瑞さん(35)は「1人の仏教徒として法要に参加した。1日も早くチベットで信仰や言論の自由が確保されることを願っている」。橋本住職は「大きな読経の声がチベットに届けばと思い、感極まった」と話した。

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