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太古の東西交流物語る 奈良国立博物館「天馬」展
「馬を駆る神」をめぐる不思議な縁−。「天馬」をテーマに世界の美術品を集めた奈良国立博物館(奈良市登大路町)の特別展「天馬−シルクロードを翔(か)ける夢の馬」(産経新聞社など特別協力)で展示されている西大寺(同市)の日天・月天像(国宝)とギリシャ陶器の赤像式クラテル(混酒器)は、ともに馬や馬車に乗る仏神が描かれており、構図の類似性が東西文化の接点を物語っている。日天像にはギリシャ神話との共通性もみられるといい、これらの図像がはるか昔の人々の交流をうかがわせている。
日天・月天像は、平安時代に国内で制作されたとみられている。3頭の馬に乗る日天、月天の背後にはそれぞれ、日輪と月輪が描かれている。
一方、赤像式クラテル(イタリア・タルクィニア国立考古学博物館)は、中部イタリアで出土した紀元前490〜430年ごろの陶器。暁の女神・エオスとみられる女性が、ペガサスがひく馬車を駆って天空を飛んでいる。
同館の内藤栄・工芸考古室長は、日本とギリシャ・ローマ世界という離れた土地に伝わる図像の共通性に注目する。
日天はインドの太陽神・スーリヤが仏教に取り入れられたもの。内藤室長は「馬に乗る姿はギリシャ神話からの影響もうかがえる。民族の往来の中で何らかの関係があるのでは」と推測。また月天は、ガチョウの引く車などに乗る姿で描かれていることが多いといい「西大寺の月天はなぜかこれも馬となっている」と不思議がる。日天・月天とも馬に乗った姿は、山口・長門国分寺に伝わる十二天曼荼羅(重文、鎌倉時代)にも共通している。
内藤室長は「日本の仏教美術にギリシャ神話の痕跡を見いだせるのは驚き。インドでさえ遠い国なのに、さらにギリシャにまでさかのぼることに、文化の伝わるスケールの大きさを感じさせる」と話した。
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日天像は今月6日まで、月天像と十二天曼荼羅は8日以降の展示。赤像式クラテルは全期間展示となっている。
「天馬」展は6月1日まで。月曜休館だが5日は開館し、7日休館。一般1000円、高校・大学生700円、中学生以下無料。問い合わせは奈良国立博物館((電)0742・22・7771)へ。