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被告、淡々と意見を主張 医師宅放火殺人・調書漏洩事件第2回公判

2008.5.2 02:03

 「彼に着せられた殺人者というレッテルをはがさなければならないと思い、閲覧させた」。1日、奈良地裁(石川恭司裁判長)で開かれた、医師宅放火殺人の供述調書漏洩事件の第2回公判。秘密漏示罪に問われた精神科医、崎浜盛三被告(50)は、法廷で初めての発言機会となった罪状認否で、自らが精神鑑定を行い、中等少年院送致となった医師の長男(18)への思いを重ね、自身の行為の正当性を主張した。これに対し、検察側は冒頭陳述で、崎浜被告が「あえて見せることを承諾した」と指摘し、確信的な動機を強調した。

 「私は、私の信念に基づき、本件を行った」。午後1時半から開かれた公判。ダークスーツ姿の崎浜被告は、手にした意見書を淡々と読み上げ、法廷で自らの考えを訴えた。席に戻った後は太ももの上でそっと手を組み、前を見据えながら落ち着いた様子で弁護人の意見陳述などを見守った。

 一方、検察側は冒頭陳述で、崎浜被告がフリージャーナリストの草薙厚子さんに調書の写しなどの鑑定資料を見せた経緯などを詳しく説明。草薙さんらからの執拗な閲覧要請に対し、自分が情報源であることが発覚しないという前提で、長男には放火で亡くなった3人に対する殺意はなく、長男が殺人者であるかのように伝えた一部報道を草薙さんの手でただしてもらいたいという気持ちから、閲覧を承諾したと指摘した。

 また、検察側は公判で、草薙さんの半ば強引な姿勢も際立たせた。

 冒頭陳述によると、草薙さんは閲覧時、最初から調書を朗読してICレコーダーで録音。しかし、記録が膨大なためすべての録音は困難と考え、カメラ撮影に切り替えたと指摘した。

 また、草薙さんは崎浜被告に対し、記事執筆時は調書などをそのまま使用せず、原稿も最終チェックさせることなどを持ちかけて閲覧の承諾を得ていたが、著書執筆にあたり「より真実性が増し、高い社会的評価を受けることができる」との思いから、調書などをほとんどそのまま引用することを決意。草薙さんが昨年5月、講談社から出版した「僕はパパを殺すことに決めた」の内容を崎浜被告が初めて知ったのは、出版の前日だったという。

 公判後、弁護人とともに記者会見した崎浜被告も、草薙さんと講談社について「(中等少年院送致となった)長男に対して責任を感じてほしい。本の内容は長男の家族を傷つけるもの。本当に反省しているのか」と静かに憤りをみせた。

 会見で崎浜被告は、草薙さんの著書について「私の意図と違う形で本が出て、結局あのようなことになってしまった」とし、公判で長男や長男の家族への謝罪の気持ちを述べたことについて「謝るべきところは謝ろうと思った」と話した。

 ただ、検察側の主張については「事実関係は結構だが『医師として』という表現に違和感を覚えた」とし、調書などの内容を漏らした行為そのものについては「長男のことを良心に従って公にしようとした信念は今でも変わっていない」とはっきり述べた。

 一方、公判を傍聴した講談社の高橋和男・法務部長は、社員の証人申請の可能性も念頭に置きながら「今後の対応については、弁護士と十分協議して決めたい」と述べた。

 次回公判は29日に開かれる。

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