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香芝・下田東遺跡で木棺出土 “無名”の遺跡で相次ぐ発見 考古学少年の思い結実

2008.4.23 02:17

 1500年前の木棺の底板が奇跡的に残っていた香芝市下田東の下田東遺跡。近鉄五位堂駅の北側に位置し、当初は研究者でさえ存在を知らない“無名”の遺跡だったが、いざ掘ってみると、木棺以外にも、これまでに平安時代の役人の遺言や農作業の年間スケジュールを記した木簡、怒ったような表情を描いた人面墨書土器など全国的にも珍しい遺物が次々と出土した。発掘担当の山下隆次・市教委主査(47)は、考古学少年だった30年近く前から遺跡の重要性に気付き、自らの調査でその成果を証明してきた。

 遺跡発掘のきっかけは、駅前を中心とした市街地整備計画。事業用地は17ヘクタールで、発掘調査は平成13年から始まり、これまでに計4.5ヘクタールが進んだ。その結果、寺院などの屋根を飾った中世の鴟尾(しび)、公文書などを書くための円形の硯(すずり)石などが出土。この一帯に役所や寺院が建っていた可能性が高まった。

 平成17年には平安時代の木簡が出土。「重病で死にそうで、これ以上お仕えすることができません」などと、当時の役人が上司にあてた遺言の下書きが記され、「宮仕え」の辛さを思わせる考古資料として話題を集めた。

 しかし、これほど重要な遺跡も、発掘前までは研究者の間ですら重要視されなかった。

 昭和55年春、当時高校生だった山下さんは、下校途中、自宅近くの五位堂駅前の水路改修に伴う工事現場で、掘り起こされた土の中から縄文時代の土器(約4000〜6000年前)がいくつも顔をのぞかせているのを見逃さなかった。少し離れた場所では、古墳時代の土器などもごろごろしていた。

 「この下にはえらいものが埋まっている。すごい遺跡だ」。さっそく知り合いだった県立橿原考古学研究所の研究者に土器を持って行き、学界で注目されることになった。

 それから約30年。今回の木棺出土は、今年2月21日夕、現場担当者から「大きな板が出ました」と電話で知らされたのが始まりだった。携帯電話で送られてきた現場写真を見て「木棺の底板だ」と思わず興奮し、より慎重な調査を指示した。

 山下さんにとって、下田東遺跡とは、高校生時代からの長いつきあいがあった。「自分で見つけた遺跡のことを、こうやって自分の言葉で説明できるとは」と感慨深げに話していた。

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