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【この人あり】被災者支援に「公助」導入 前兵庫県知事 貝原俊民(4)

2008.4.4 03:30

 阪神・淡路大震災から100日たった平成7年4月27日。物資搬入基地となっていた神戸市灘区の王子陸上競技場に陸海空の自衛隊員がそろった。自衛隊の撤退式だ。貝原は今でも、その日を鮮明に覚えている。

 「これで災害派遣任務を終了する!」

 防衛庁長官(当時)、玉沢徳一郎のよく通る声を聞き、胸に熱いものがこみ上げた。「皆さんは大きな心の支えでした」。感謝の日とし、被災者が謝辞を述べた場面は感動さえ覚えた。その場面で、貝原はこうも考えていた。

 「被災者救援や地方自治体のバックアップを、自衛隊が主体的に担当できるように抜本的な制度改正を行うべきではないか」

 自治省(現総務省)出身の貝原の目線は、常に地方自治の側にある。震災を通して、たどり着いたのは「自助」から「公助・共助」へと社会の仕組みを変えなければならないということだった。

 考えを要約すれば、日本の災害対策に対する法体系は高度成長以前につくられ、若い被災者を想定し、国や自治体など「公」は少しだけ支援すれば、自立復興できる、としていた。しかし、それでは現在の高齢化社会の実態にそぐわない。

 自衛隊の撤退式から約3年後、画期的な法律が生まれる。被災者生活再建支援法だ。国会議員や全国知事会に働きかけ、生協連や全労済の協力を得て成立した。貝原は「法体系に風穴をあけた」と自負している。

 《被災者生活再建支援法は10年5月に成立。自立での生活再建が困難な自然災害被災者の生活必需品購入費のため、都道府県が拠出した基金運用益と国の補助金で最高100万円を支給する制度。鳥取県西部地震などでも適用された》

 もっとも貝原の自負心は、震災当時の悔恨の裏返しでもある。

 例えば、仮設住宅の建設。わずか半年で、人口10万人の都市の住宅戸数に匹敵する4万8300戸を建てた。だが、思い出すのは達成感ではない。酷寒の中、避難所で震えている高齢者や子供の姿だ。

 「一日でも早く入居してもらいたかった。『心配しないでください』と声をかけずにはいられなかった」

 自衛隊派遣や被災者の生活、住宅支援…。「地方自治体に何ができるのか」。兵庫県に赴任して25年目。地方分権を推進した貝原には、苦しい日々が続いた。(敬称略)

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