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安全な秋葉原へ一歩 AED1台寄贈 有志が苦難の募金活動

2008.11.25 16:05
このニュースのトピックス東京かわら版
募金で購入した救急ポーチ。赤いポーチには応急処置セットが入っている募金で購入した救急ポーチ。赤いポーチには応急処置セットが入っている

 東京・秋葉原で今年6月に起きた無差別殺傷事件を受け、「街に安全を取り戻そう」とAED(自動体外式除細動器)設置に向け、募金を行うグループがいた。集まった金額は約13万円。足りない分は自分たちのポケットマネーで補い、来月、JR秋葉原駅前の案内所に1台寄贈する。しかし、ネット上で執拗(しつよう)に攻撃され、募金活動中止に追い込まれるなど紆余(うよ)曲折があった。(安岡一成)

 「私たちの大切な秋葉原の街のために立ち上がろう」

 事件直後、番組制作会社社長、崎野千佳志さん(45)は有志約20人で「AKIBA AID 2008」を設立、AEDの設置を目指して募金活動を開始することを計画した。

 当時、現場ではAEDの設置場所が分からず、約200メートル離れたJR秋葉原駅まで走って取りに行かなければならなかった。「救命にあたった医師からAEDの到着が遅かったと聞いた」ことが活動を思い立ったきっかけだった。

 事件のあった翌週の週末から募金活動を開始。活動状況と集まった額は専用ブログで公開した。崎野さんは「秋葉原は仕事場であり、幼少期を過ごした故郷。何か役に立ちたかった」と話す。

≪ネットに批判の書き込み≫

 しかし、この活動がネット上で攻撃のターゲットになってしまった。「アキバ」という場所柄、有志の数人がコスプレ姿でテレビなどで大きくとりあげられたことを機に、ブログなどに批判の書き込みが相次いだ。参加メンバーに、かつて秋葉原の歩行者天国で女装姿でモデルガンを乱射、万世橋署から厳重注意を受けていた人物がいたことも拍車をかけたとみられる。

 この男性は活動からはずれたが、批判の矛先は収まらずエスカレート。「募金を流用した」「暴力団とかかわりがある」などの中傷や米ネット検索大手グーグルの「ストリートビュー」サービスを使って、崎野さんの自宅が特定できる情報が流された。活動に参加したタレントのあまね飛鳥さん(26)は、ブログに気持ち悪い書き込みが1日に100件以上あり、「怖かった。悪いことはしていないのに」と打ち明ける。

≪わずか1カ月で中止≫

 活動は約1カ月で停止。それでも集まった13万1620円と崎野さんらの一部寄付で、AED1台を購入。事件から半年後となる来月、秋葉原無料案内所に寄贈する。

 崎野さんは「善意の思いが中傷のターゲットになり、一時はもうこりごりという気持ちになってしまった。寄贈まで半年がかかってしまったが秋葉原は週末、1万人以上の人が訪れる。たった1台のAEDだが、アキバの安心に寄与できれば…」。

 一方、案内所も事件直後に「入院中の被害者に花を贈ろう」と募金を実施し、3日間で約5万円を集めた。ただ、個人情報保護を理由に警察に入院先を教えてもらえなかったため、絆創膏(ばんそうこう)などの応急処置グッズ10点が入ったポーチを22個購入。案内所のスタッフが9月から4個を携行し、残りは今月11日、地元小学校などに贈った。

 大きな傷跡を残した、秋葉原の無差別殺傷事件。休止になった歩行者天国の復活のめどはたっていない。しかし、安全な「アキバ」を目指した“草の根活動”は続いている。

このニュースの写真

募金で購入した救急ポーチ。赤いポーチには応急処置セットが入っている
募金で購入した救急ポーチをつけて街頭で観光マップを配布する秋葉原案内所のスタッフ
AED設置のため募金活動を行う「AKIBA AID 2008」のメンバーら=6月、東京・秋葉原
AED設置のために募金活動を行う「AKIBA AID 2008」メンバーら=6月、東京・秋葉原
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