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古書店街、ネットと共存 神保町、店舗数じわり増加/“知の集積”強み
読書の秋。世界一の古書店街といわれる東京・神田神保町で27日から、「第49回神田古本まつり」が開かれる。古書といえばインターネット通販サイトの普及でネットで注文する人が急増。アナログな古書店街は青息吐息かと思いきや、神保町では書店数が増えるなど活発だという。年に1度の「古本屋さんの祭典」を前に、その理由を探ってみた。
古本まつりの会場となるのは東京都千代田区の古書店街一帯。まちをあげてのイベントには約100店が参加。来月3日までの期間中、午前10時〜午後7時まで「青空掘り出し市」が開かれる(雨天中止、最終日は6時まで)。歩道に軒を連ねる古書店と向き合うように書棚を並べ、100万冊余りがバーゲン価格で売り出される。
イベントも盛りだくさんで、29日には神保町と縁の深い落語家、立川志の輔さん(54)の独演会を開催。チケットはすでに完売しているが、会場となる東京古書会館で開演前、志の輔さんのおすすめの本を展示即売する「志の輔古書店」がオープン。30日には区立千代田図書館の案内人「図書館コンシェルジュ」や古書店主と街を歩くツアーも行われる。
神田古書店連盟の会長、中野智之さん(54)は「日本全国、海外からも多くの読書人が訪ねてくださる。今年も東京の名物行事にふさわしい催しになります」と胸を張る。
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古書の取引をめぐっては、平成12年に営業を始めた最大手「アマゾンジャパン」などネット通販が急増。わざわざ古書店まで出かけなくとも、自宅や会社でワンクリックで目当ての本を探し出せる手軽さは大きなメリットだ。
しかし、老舗古書店の2代目である中野さんは「ネットの普及で危ないかなと思った時期もあったが、アマゾンが脅威なのはむしろ新刊書店。僕ら古書店とはすみ分けができてきた」と話す。
「インターネットは目当ての本を検索することには適しているが、そこで終わり。古書店街には、世の中にどんな本があるかを知り尽くした専門家であるベテラン古書店主が集まっていて、読書の幅を広げる手助けをしてくれます」
神保町の古書店のうち、東京都古書籍商業協同組合に加入する店は平成元年に130軒だったが、現在は158軒に増加。本郷、早稲田などの都内の古書店街をはじめ全国的に古書店街が縮小する中、神保町では増えているという。組合の広報課は「閉店する店がある反面、専門性を評価された地方の古書店が移転したり、支店を出したりして20年間でゆっくりと増えた」と話す。
表通りの老舗が店を閉め、飲食店などに変わるケースもある一方、裏通りの雑居ビルの一室を借り、店舗を持たずにインターネットだけで取引する古書店も現れた。店舗の所在地が「神田神保町」となっていると、客の信用を得られやすいためだという。
ブランド力と知の集積が、ネット時代の大きな強みになっているようだ。
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■“神保町の生き字引”八木さん「この街はなくならない」
神田神保町の古書店街にある業界誌「日本古書通信」編集者として昭和11年から72年間、街を見続けてきた“神保町の生き字引”八木福次郎さん(93)に“今昔”を聞いた。
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古書店街も変わりましたな。かつては非常に地味な商売で、三島由紀夫が小説「永すぎた春」で古本屋のおやじを「薄暗い店内にいるムジナ(穴熊)のよう」などと描きましたが、彼らは固い団結で日の当たる商売へと盛り立ててきた。古本まつりも不況だった昭和35年に始まり、昭和天皇のご病気で自粛した63年を除いて毎年、続けられています。
お客さんもいろんな人が見えますね。司馬遼太郎が高山書店へ資料集めにきていたり、松本清張が一誠堂へ日に何度も電話をかけて資料を求め、店側が「こないだ同じ本を納めたじゃないですか」と言ったら「家の中を探している時間がないんだ」と言われたとか。逢坂剛さんは若いころ、神保町が近いという理由で博報堂へ入ったということです。
古本屋というのは堅実な商売で、仕入れも原則、現金払い。神保町でも店を閉めるのは古本で失敗したためではなく、他の事業に手を出した場合が多い。最近はケータイ小説が流行し、古本屋もインターネットに浸食されて、全体としては減っていますが、この街はなくならないと思いますなあ。