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古里・山古志に復興の桜 川越の住民ら幻の八重山古志…全世帯に苗木贈る

2008.5.15 03:12
このニュースのトピックス埼玉の教育

 平成16年10月の新潟県中越地震で大きな被害を受けた旧山古志村(長岡市)の全世帯約500戸に今春、桜の苗木が1本ずつ贈られた。長く続いた住民の仮設住宅暮らしは昨年末までに終わり、念願の“帰村”を果たしたが、今後も続く復興への戦いを励まそうと、同県出身で埼玉県川越市のギャラリーオーナー、塩野すい子さん(60)らがプレゼントした。14日、山古志闘牛場で記念植樹が行われ、住民と塩野さんらが交流を深めた。(石井豊)

 贈られた桜は約20年前、旧山古志の山中で発見され「八重山古志(やえやまこし)」と名付けられた幻の桜。発見者の岐阜県瑞浪市文化財審議会委員で園芸家の山口清重さんらが枝を採取、接ぎ木して残した。しかし、原木のある場所は年月がたち、地震もあって不明になってしまった。

 地震直後から旧山古志の支援活動を続けていた塩野さんらは昨年1月、長岡市山古志支所地域振興課の斎藤隆課長から幻の桜の存在を聞く。「被災者に長い冬の終わりを美しい花で迎えてほしい。それには地元で生まれた八重山古志が一番」と全世帯に苗木を1本ずつ贈ることを決めた。

 山口さんらと連絡を取り、苗木の確保、資金集めに奔走した。目標は世帯数の1割増の550本。苗木代など30数万円の費用のため、塩野さんらはピンクの美しい八重山古志の写真をはがきにし、しおりとセットで販売。チャリティーバザーやコンサートも重ね、資金はほぼめどがついた。

 埼玉県鳩ケ谷市の苗木生産卸「埼玉植物園」で育てられた苗木は1メートルから2メートルに成長。山口さんが4月1日、山古志支所に届け、支所を通して全世帯に1本ずつ配られた。4月10日前後には開花を始めるものもあり、住民らを喜ばせた。

 記念植樹は川越側から塩野さんやソプラノ歌手、伊藤ちゑさんら、旧山古志の支援活動を続けてきた市民ら約20人が参加。地元農家の主婦グループ「山古志畑の学校」(長島久子代表)のメンバーらの出迎えを受けた後、八重山古志の苗木30本を、山古志闘牛場の駐車場を囲むように4、5メートル間隔で植えた。

 同闘牛場は、国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き」の舞台。5月から11月にかけて計9回行われる闘牛には観光客や住民が詰めかける観光名所だ。八重山古志が順調に育てば、桜の名所が少ない旧山古志一番の名所になり、にぎわいを増しそうだ。

 長島さんは「八重山古志という桜があるとは知らなかった。各家で1本ずつ咲いたら、すごい景色になるのではないか。雪が多いのでうまく育ってくれるか、それが心配」と話していた。昨年12月20日に帰村した農業、青木尊男さん(66)は「地震で庭の木も何もなくなってしまった。いただいた桜の苗は入梅時期に植えるつもりだ。2、3年後にはきれいに咲いてくれると思う」と待ち遠しそうだった。

 塩野さんは「大勢の人の協力でここまでできた。次は開花時期の違う桜を公園などに植え、長くお花見が楽しめるようにしたい。そうしたら川越と山古志で子供たちが触れあうイベントもしたい」と笑顔を見せた。

                  ◇

【用語解説】新潟県中越地震

 平成16年10月23日午後5時56分に発生。川口町で震度7、旧山古志村で震度6強を記録した。震源地は中越地方、震源の深さは13キロ、マグニチュード6・8。死者68人、負傷者4795人、家屋の全半壊約1万7000棟の被害を出し、旧山古志村では住民全員が離村を余儀なくされた。

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