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【つながる高速道−北関東の未来図】(9)医療連携 命を救う北関東の生命線
「建設中の北関東道沿いに緊急医療通信網の開発を考えています」
平成18年3月14日、栃木県壬生町の独協医科大で開かれたシンポジウム。宇都宮大工学部の酒井直隆教授は、自ら提唱する「北関東メディカルハイウエイ構想」をぶちあげた。高速道路を走行中の救急車から携帯端末を使い、心電図や患者の映像などの情報を搬送先の病院に送信するシステムは画期的だった。
旧道路公団の関係者は「国内産業の空洞化と、主要な輸出先が北米から中国などアジアにシフトしたため、常陸那珂港より新潟港の方が便利との声もあった。北関東道建設の説得力がなくなっており、だからこそ救急医療という役割は魅力的だった」と振り返る。
しかし、構想はその後、進んでいない。酒井教授は「一般的に救急医療は病院経営にとって金にならないから積極的ではない。道路公団も民営化したばかりで話が進まなかった」と嘆く。
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高速道路を利用した救急医療の拡充を図ろうと、壬生町では18年度から、独協医科大付属病院と北関東道壬生インターチェンジ(IC)を直結する道路の整備に着手している。延長1・2キロで、用地買収は一部を除いて終わっている。総事業費は約6億円。直結道路の完成により、搬送時間が2、3分短縮されるという。
同大救命救急センター長の崎尾秀彰教授によると、心停止した救急患者の処置に1分遅れると、蘇生(そせい)率は7〜8%落ちる。崎尾教授は「患者の救命には1、2分を争うこともあり、時間短縮で命が助かる人もいるのでは」と期待する。
東日本高速道路によると、真岡−桜川筑西IC間の整備効果として、24時間体制の救命救急センターまで30分以内に搬送できるエリアが約45平方キロ拡大。新たに約1万5000人の医療環境が向上する計算になる。県境をまたいでの救急患者の搬送が増えることも想定される。
しかし、整備効果はすぐには表れることはなさそうだ。栃木県真岡市や益子町、二宮町などを管轄する芳賀地区消防本部によると、北関東道を利用して茨城県内に搬送する患者は年間10件程度にとどまると想定。筑西消防署(筑西市)も「桜川筑西ICの周辺で救急搬送があっても、水戸市内の病院に向かうことが多く、利用が増えることはないのでは」と指摘する。
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効果は救急医療だけにとどまらない。酒井教授は「将来の全線開通で、群馬、茨城県境から高速道路を利用して、独協医科大病院、自治医科大病院(栃木県下野市)を訪れる外来患者は確実に増える」と予想する。さらに、3県で得意な治療を分担する医療連携の必要が高まると考えている。崎尾教授も「災害時の医師派遣に高速道路が役に立つのでは」と考える。北関東道が3県にとって生命線となる日も近い。(鈴木正行)=おわり