ニュース:地方 RSS feed
小麦高騰 「うどん王国」を直撃
古くから小麦の生産地として「粉もの文化」が発展し、「うどん王国」として知られる群馬。世界的な小麦価格の高騰を受け、県内のうどん業界からは、「企業努力も限界」「値上げによる客離れが怖い」との悲鳴が漏れる一方、小麦産地では「県産小麦を売り込むチャンス」との声も聞かれる。価格高騰は「粉もの文化」に悲喜こもごもの影響をもたらしている。
県産業政策課などによると、小麦価格が高騰したのは、輸出大国・オーストラリアの干魃(かんばつ)被害と、バイオエタノールの原料となるトウモロコシへの転作などが原因という。日本で使われる約86%は外国産なため、仕入れ値に直接反映することになる。
最も打撃を受けているのは、高騰する小麦価格の値上げ分を店頭価格に転嫁しにくいうどん店。桐生市のうどん店でつくる桐生麺類(めんるい)商組合によると、小麦1袋(25キロ)当たりの仕入れ値は今月から、約300円上がったという。それでも、林快一組合長は「客離れが怖い」と値上げに慎重だ。
讃岐(香川)、稲庭(秋田)と並んで「日本三大うどん」として知られる水沢(渋川市伊香保町)のうどん店でも事情は同じ。水沢うどん商標登録店組合は「辛いけど各店が経営努力で乗り切るしかない」とこぼす。
これに対し、うどん製造業の中には、値上げの検討に乗り出したところもある。
館林市で明治27(1894)年に創業した乾めん製造の老舗「花山うどん」(同市本町、橋田三造代表)は年明けにも、厳しい経営状況を乗り切るため、25年ぶりに値上げすることを検討している。橋田代表は「来春にも小麦価格が再び上がるとみている」としたうえで、価格引き上げが消費者に与える影響を懸念している。
一方、小麦の収穫量全国4位(19年産・2万4800トン)を誇る県内の産地では、輸入小麦の価格が高騰していることから、「国産小麦の関心が高まり、需要が伸びている」(県蚕糸園芸課農産グループ)と前向きに受け止めている。うどんに使われる県産小麦「農林61号」を「売り込むチャンス」(同)として、国産小麦の需要増を見越した態勢づくりに乗り出している。