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「峠の鉄路」復活を…碓氷峠トロッコ列車延伸

2007.11.6 02:49

 長野新幹線の開業に伴いJR信越線碓氷峠区間(横川−軽井沢駅間、11・2キロ)が、平成9年9月末に廃線となって約10年の歳月が流れた。廃線跡の一部を利用して観光トロッコ列車を運行している碓氷峠交流記念財団では、運行区間を「旧熊ノ平駅」まで延伸する検討に入り、「峠の鉄路」復活の夢が再び現実味を帯びてきた。10月にはさいたま市に鉄道博物館がオープンし、客足への影響も懸念されるだけに、関係機関による復活協議の進展と、魅力ある観光周遊ルートの構築が求められている。(大竹直樹)

 ■「博物館」を懸念

 廃線からちょうど10年が経過した10月1日、財団が観光トロッコ列車の延伸方針を打ち出した。

 トロッコ列車は現在、「碓氷峠鉄道文化むら駅」から「峠の湯駅」までの2・6キロで運行されている。財団は、さらに「旧熊ノ平駅」までの3・5キロを延伸させる計画だ。アプト式鉄道時代の旧線跡を整備した遊歩道「アプトの道」が、22年度に「旧熊ノ平駅」まで延びるため、鉄道ファンだけでなく、遊歩道利用者の需要も見込んでいる。

 18年に一時具体化した復活構想は、財団トップの前理事長と鉄路を所有する安中市の岡田義弘市長との対立で、白紙となった経緯があるだけに、鉄道ファンや関係者の期待も高まっている。

 延伸構想が再び浮上した背景には、「さいたま市で10月14日にオープンした鉄道博物館に対する危機感」(財団関係者)がある。財団が運営している鉄道テーマパーク碓氷峠鉄道文化むらへの客足が遠のくことを懸念しているというわけだ。このため、「列車を動かすことで、博物館との差別化を図りたい」(白石敏行理事長)としている。

 ■ケーブル盗発生

 標高差553メートルの峠道は、1キロ進んで66・7メートル登る急勾配(こうばい)区間。昭和50年には、回送の電気機関車が暴走し脱線する事故も起きている。

 廃線跡の安全性については、鉄道工事関係のゼネコン業者「東鉄工業」(東京都新宿区)が18年に行った調査で、トンネルなど全検査項目で安全性が確認されている。赤字ローカル線の廃線跡とは異なり、碓氷峠区間は「幹線の中でもトップクラスの頑丈な路盤」(関係者)という。

 しかし、延伸実現には険しい道のりが予想されている。安全運行を担保する線路などの鉄道設備について、通常の鉄道以上に高度な保守技術が必要となるためだ。

 復活に水をさす事件も10月に明らかになった。廃線跡の9本のトンネルで、信号機を制御する信号ケーブルと通信ケーブル計約11キロが盗まれた。廃線跡を管理していた財団は将来の復活に備え、トンネル入り口などに侵入防止のさくなどを設けていなかったことが裏目に出た形だ。

 被害場所は延伸区間に含まれないため、復活構想に影響しないとされるものの、今後の廃線跡の維持・管理に課題を残した。

 ■“新”周遊ルート

 財団は安全性や採算性などを検討し、早ければ今月中に市との本格的な協議に入る。財団は、老朽化しているトロッコ列車のディーゼル機関車新造費用(約1億円)を市に要望する方針といい、一度頓挫した復活構想が再び本格的に動き出しそうだ。

 隣町の長野県軽井沢町を訪れる観光客は年間約800万人。観光客を碓氷峠に誘致できれば、一定の集客を見込める。国指定重要文化財「めがね橋」などの貴重な鉄道文化施設を活用した観光ルートを構築できれば、観光客がトロッコ列車で周遊できる新たな観光スポットに生まれ変われる可能性は大きい。

 廃線跡が荒らされ、復活が困難になってからでは遅い。財団や市だけでなく、観光団体など関係機関が一体となり、一日も早く復活に向けた協議を軌道に乗せるべきだ。

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