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公募社長“走る” いすみ鉄道、協賛企業募りトップセールス

2008.4.21 02:18

 千葉県・房総半島南部を走る第三セクターの「いすみ鉄道」でこの春、公募で選ばれた社長が誕生した。さっそく現場に入るバイタリティーで、開業当初から赤字が続いてきた現状を変える切り札として周囲の期待は大きい。首都圏のほかのローカル線も厳しい経営環境だが、社長公募に踏み切ったいすみ鉄道同様、経営の工夫で乗り切っている。(佐藤修)

 4月に新社長に就任したのは、千葉市のバス会社「平和交通」など運輸業3社で社長を務めた吉田平さん(48)。35歳で父から事業を受け継いだ。

 昭和63年、千葉県や地元自治体が開業したいすみ鉄道は、マイカー利用の増加や沿線人口の減少などで、初年度約4800万円の赤字が平成17年度に約1億4500万円に膨らみ、営業収入も17年度は開業時から半減。社長公募を決めた。

 吉田さんは20年度に9900万円と見込まれる赤字のうち、出資自治体が補助しない約1500万円について協賛企業を募る考え。20、21年度の収益改善をみて存続の是非が判断されるため、「この2年が大事」と意気盛ん。「自然豊かな沿線の特長を生かし、『環境』をキーワードにトップセールスを行いたい」と話している。

                   ◇

 首都圏各地の鉄道も経営努力を続けている。

 静岡県富士市を走る岳南鉄道は貨物輸送が収益の約30%を占めるローカル鉄道だが、トラックへの転換や少子高齢化で昭和40年代前半をピークに経営は厳しくなっている。富士市は平成16年度から年間1000万円の補助を開始。同社は補助金で駅舎やトイレの改修、駅前駐輪場の整備などを進め、同年度から3年連続の利用者増につなげた。

 神奈川県の小田原と箱根を結ぶ箱根登山鉄道は親会社の小田急電鉄と連携。新型ロマンスカーの導入などで、15年ごろから減少傾向だった乗降人員数は19年に回復傾向に転じた。

 埼玉県北部を東西に横断する秩父鉄道は東京から一番近いSLを走らせるなど観光客の取り込みに尽力。不動産部門の拡充に力を入れ、経営を強化する方針だ。

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 ■吉田社長一問一答

 −−現状は

 「毎年1億円以上という赤字は危機的。人口が少ない所では旅客収入だけでは成り立たない。第三セクターで公的助成がある甘さがあったかもしれない」

 −−どうかじを取る

 「人の移動ニーズを徹底的にサポートするのが私の経営理念。再生計画に沿って、独自の計画を打ち出したい」

 −−具体的には

 「『環境』をテーマに据える。案内板に企業名と環境メッセージを載せたり、(駅ホームの)花壇のオーナーやネーミングライツ(命名権)を設けて協賛企業を募り、2年間で約2000万円の収益改善を見込んでいる。廃油をディーゼル燃料に使っていることもアピールしたい」

 −−なぜ環境がテーマ

 「沿線は手つかずの里山、自然が残っている。千葉のヘソを走る『菜の花鉄道』の雰囲気を訴えたい」

 −−現在の生活は

 「朝4時50分の運転士の点呼に間に合うように千葉市の家を出ます。トイレ掃除をし、始発列車に乗り込んで往復する。大多喜高校の生徒さんやお客さんに声をかけ、ホームのごみ拾いもする。それから朝礼です」

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【用語解説】いすみ鉄道

 昭和63年のJR木原線廃止に伴い、千葉県や勝浦市、大多喜町、御宿町など地元自治体が出資して同年3月に開業。大原−上総中野間(26.8キロ)の13駅。17年に県と地元首長などで作る「いすみ鉄道再生会議」が発足、地域に不可欠な鉄道と位置付けた上で、再建策として社長を一般公募した。

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