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アニマルパスウェイ設置 動物専用橋で仲良く共存
野生動物の生息する森を分断して道路を造ることで発生する動物の交通事故「ロードキル」の対策が全国で広がっている。フェンスなどを設置して侵入を防ぐことが多かったが、近年、動物専用の橋やトンネルを造るなど共存を図るケースが出てきた。シカやタヌキなどを対象にしたものが多いなかで、山梨県北杜市の市道上には昨年7月、天然記念物のヤマネなど樹上動物専用の橋「アニマルパスウェイ」が設置された。「樹上動物専用は珍しい」(国土交通省国土技術政策総合研究所)といい、今月には社団法人土木学会の環境賞を受賞、注目を集めている。(油原聡子)
「道路で森が分断されると孤立した森にいるヤマネが周囲の森へ餌をとりに行けなくなり、生態系に影響が出る可能性があった。車にはねられたヤマネもいたんです」。アニマルパスウェイを開発した研究会のメンバーで、キープやまねミュージアムの湊秋作館長はこう話す。
きっかけは平成10年、ヤマネの生息する森を分断する形で清里高原有料道路(現在は無料)が建設された際に、山梨県が造ったヤマネブリッジだ。道をまたぐ形で設置された道路標識の内部に金網で橋を造ったもので、国内外から視察が相次ぎ、英国ではヤマネブリッジを参考にした橋も建設された。しかし、普及には2000万円という高額な建設費用がネックとなったため、16年に大手ゼネコンやヤマネ研究者らが研究会を結成。一般化に向けて材料研究や構造研究などを重ねアニマルパスウェイを開発し、昨年7月に北杜市が市道上に建設した。
三角形の鉄製フレームに屋根を取り付けた形で長さ約14メートル、高さ約6メートル。天敵からの退避場所を設け、支柱には木の皮を巻き付けるなど利用しやすいように工夫した。その結果、設置後4カ月でヤマネやヒメネズミなど計約 890回の利用を確認。建設費用もヤマネブリッジの10分の1の 200万円に押さえた。湊館長は「国内だけでなく海外でも道路で分断された森が多い。コストダウンもできたし、今後普及していけば」と期待する。
山梨県や長野県を管轄する中日本高速道路によると、平成18年度のロードキル発生件数は前年より 354件多い5726件で、全国でも増加傾向にある。ロードキル防止先進国の欧米ではヒキガエル用のトンネルまであるというが、国内で野生動物との共存対策が取られるようになったのは10年ほど前からだ。沖縄県では天然記念物のヤンバルクイナやイリオモテヤマネコなど希少動物の被害を防ごうと、行政機関などで作る連絡会議が実態調査や啓発チラシを配布しており、各地で対策が進んでいる。
生態系の保全だけでなく、交通安全の面からもロードキル対策は欠かせない。動物と衝突することで車や電車が破損するほか、動物をよけようとしたドライバーが死亡するなどの事故も後を絶たず、道路の管理責任を巡る訴訟も起きている。エゾシカの越冬地だったことからロードキルが多発していた北海道斜里町では、橋の下にシカの通り道を設けるなど国道を「斜里エコロード」として整備した結果、事故率が2分の1に減少した。
ロードキルにくわしい宇都宮大学農学部の小金沢正昭教授は「けもの道を確保するだけでなく、道路の周囲の森も保全しないとだめ。道路を造ってから対策を立てるのではなく、計画段階からきちんと共存を考える必要がある」と話している。