ニュース:地方 RSS feed
クリーニング店の可能性追う 403社長・岩本氏「概念打ち破る」
山梨県の富士五湖・東部地域でクリーニングチェーンを展開する「403」(よんまるさん)=岩本政一社長(42)=が、クリーニング店の概念を打ち破るとして、チャイルドシートやキャンプ用品の洗濯など客の求めに応じている。高級衣料の全国宅配・無酸素パック6カ月保管・クリーニングサービスも開始した。クリーニング店の可能性を追う岩本社長に話を聞いた。(牧井正昭)
岩本社長はクリーニング業界について「原油高騰でハンガー、梱包(こんぽう)用ポリ袋の資材費などが値上がり、代金を値上げしたいが、すると消費が下がる。バブル期は1兆円に迫るといわれた業界だったが、クリーニング需要は当時の半分以下に落ちた」と現況を分析。クリーニング業界は既存店が事業拡大などで取扱店は過剰ぎみ。家庭の洗濯代への支出は平成4年をピークに7年間で30%近く減少したという。今春には原油高によるコストプッシュ型の物価上昇を招いたが、クリーニング業界は過当競争で値崩れを起こしている。
岩本社長も店舗数の拡大を考えたが、狭い市場では需要に限界があり、費用がかさむだけ。むしろ「バブル期に高級ブランド品が流行し、家で洗えずクリーニング店に持ち込んだ過去がある。うちには腕のいい職人がいるのだからクリーニング屋の技術に見合った料金をいただくにはどうするか。高級衣料を洗濯することだ」と従来の薄利多売の逆を考えた。インターネットと物流システムを使えば市場は広まる。
昨年8月にホームページで本格的にPRを始め、鹿児島県や大阪市からも宅配便でクリーニング依頼がくる。高級衣料品に交じってオーダーメードのカーテンが届いたこともある。
こうした衣料品クリーニングの宅配サービスは関西や首都圏の大型店でも扱っている。「うちはシミを全部落としますとはいわない。洗いすぎは生地を痛める。汚れの状態を説明して、80%のシミ抜きでお客さまが喜べばいい。それが技術。ミシン職人もいて、やぶけがあればリフォームして返す。そこが他店とのちがい」という。
高級衣料クリーニングだから、富裕層を狙って料金設定した。スーツ上下3000円、ワイシャツ650円と高め。だが、実際には「利用客は主婦が多い。たぶんクリーニング店を使い分けているんだと思う」と消費者に教えられた部分もある。
一方ではこれまでもさまざまな依頼に応じた。スノーボードやスキーのブーツ、ブランドバッグ、ゴルフバッグも。最近では剣道の道具(面、小手)も引き受けている。「『403』に行けばどうにかしてくれると考えているお客さまに、洋服から離れた考えをすれば、技術で対応できる。人の体以外ならなんでも洗いますよ」
ただし業界は“クレーム産業”ともいわれる。岩本社長は「高級衣料を扱う場合、1点1点にカルテというか、衣料の状態からどこまできれいになるかということをお客さまに知らせる必要がある。きれいにならないまま、だまって返すからクレームとなって返ってくる」。クリーニング店にも説明責任が求められる時代だ。
取材中にも宅配便で依頼品が複数箱届いた。春になり大半は冬物衣類だ。「これらは即クリーニングしてくれというのではありません。無酸素パックで半年間保管。無酸素だから万一虫が入っても死ぬ。次の冬にお客さまに連絡して、ほしい日に合わせてクリーニング。そうするとクリーニング店は閑散期に仕事ができる。お客さまもスペースを取る冬物を預かってくれるため喜びます」
すでに次の可能性を求めている。「ネットでクリーニングを検索する確率は低い。どう宣伝するか。通販会社とタイアップして、今度はカタログショッピングでPRしようと思う」。厳しい業界の中で生き残るため秘策を次々と打ち出す。
◇
【会社概要】403
平成4年3月の創業。資本金300万円。山梨県富士河口湖町に本店を置き、直営、フランチャイズ含め店舗数32。昨年からこいのぼりやチャイルドシートなどのクリーニングに着手。ヒット商品となった。「59分クリーニング」もある。(電)0555・73・3844。