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アフガン自立へ診療所 静岡のNGO 産科充実、学校も新設
静岡を拠点に、医療や教育面でアフガニスタン復興支援活動に取り組んでいるNGO(非政府組織)「カレーズの会」が今春、同国南部に新しい診療所を開設する。秋には子供から大人まで受け入れる学校も完成予定。同会理事長のレシャード・カレッドさん(58)は「アフガニスタンはいまだに自爆や空爆で多くの犠牲者が出ている。自分たちの活動がアフガン自立のきっかけになれば」と期待している。(三品貴志)
診療所は同国南部のカンダハール市中心部から北東約10キロの地域に完成予定。総事業費は約1500万円で、ODA(政府開発援助)のNGO支援無償資金協力や同会への寄付金が充てられた。
同国では、女性が出産時に合併症を起こし死亡するケースが日本の約50倍にのぼり、診療所には出産や入院設備を完備。産科の24時間看護体制を目指すほか、予防接種や飲み水の注意などを指導し、患者の健康教育にも力を入れる。
会は平成14年、同市内の民家を借りて診療所を開設し、廉価で1日約200人を診療してきた。しかし患者数が増加するなど効率的な運営が難しくなり、女性専用診療室など充実した設備が伴う診療所の新設を決めた。
レシャードさんは「日本国内の病院から中古の医療機器を譲ってもらったり、大口の寄付をいただいたりしたおかげで無事に完成までこぎつけた」と目を細める。
アフガニスタン出身のレシャードさんは、昭和44年に医学留学生として来日した。京都大学などで学んでいたが、55年の旧ソ連軍のアフガン侵攻で帰国を断念。62年に日本国籍を取得し、平成5年、縁のあった静岡県島田市に医院を開業した。
以来、個人で同国支援活動を行ってきたが、13年の米中枢同時多発テロ事件後のアフガン空爆をきっかけに、県内のボランティア関係者と同会を設立。「『カレーズ』とは地下水脈のこと。1人1人は小さくても、大勢が集まれば大きな流れを作れると思った」と振り返る。
会ではレシャードさんのほか、弟のシェルシャーさん(47)が現地事務所長として活動している。現地出身者が所属する国内NGOは珍しく、「外務省はアフガニスタンに国外退避勧告を出しているので、メンバーが現地で活動できるのは強み」(シェルシャーさん)という。
会によると、無償資金協力の使途は、基本的に施設の建設などハード委面での援助に限られ、経費や人件費に充てられない。このため、現地スタッフへの給料は安く、寄付が盛んな欧米NGOに人材を引き抜かれてしまうという問題もある。
一方で、レシャードさんは「復興支援バブルが起きて、物価が高騰し市民の間に格差が広がっている。支援は永遠に続くものではない。単に外からお金をつぎ込むだけでなく、アフガニスタンが自立するために、後に残る教育やシステム作りが必要」と課題を挙げる。
「日本に留学したのは、アフガニスタンと同じアジアの文化を共有し、戦後復興への努力と熱心さに感銘を受けたから。日本人にももっと関心を持ってほしい」とレシャードさんは呼びかけている。
会への問い合わせは、静岡県ボランティア協会内事務局(電)054・255・7326。