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【2009人】町屋再生の仕掛け人・吉川真嗣さん 故郷・村上への誇り原点
大河ドラマ「天地人」の放映開始で幕を開けた「新潟県大観光交流年」。2度の震災に見舞われて低迷する新潟観光の復活に大きな期待がかかる。
お祭りムードが高まるときだからこそ、県北の城下町・村上で10年前から町屋の再生に取り組んできた先駆者として、注文がある。
「一過性で終わってしまっては意味がない。自分たちが住む町に誇りを持つことを原点にしないと」。実体験に基づく信念が、そう言わせるのだ。
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平成9年ごろ、町屋が多く残る村上市の町人町で、道路拡幅計画が持ち上がった。大型商業施設に押されて衰退していた商店街は当初、歓迎していた。だが、会津若松で終戦直後から歴史的な町並みの保存活動を続けている会津復古会初代会長の五十嵐大祐氏に出会うと、言下に反対される。
「そんなことをしたら城下町の価値は失われるし、第一、道路を広げて成功した商店街は一つもない。大変なことになる。あなたが食い止めなさい」
全国の商店街を歩いてみると、果たしてその通りだった。だが、反対の署名活動は周囲の非難を浴びてすぐ挫折する。代わりに取ったのが、町屋に光を当てて町を活性化させることで、緩やかに市民の意識を変えていく手法だった。
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町屋を一軒一軒回って賛同者を募り、10年から町屋の常時公開を始めた。各家に伝わるひな人形や屏風(びょうぶ)を展示し、住人が解説する「人形さま巡り」や「屏風まつり」が催され、年間10万人を超す観光客でにぎわうようになった。16年、市民から年間1000万円の寄付を集めて「町屋の外観再生プロジェクト」を始動。村上大工の手で和菓子屋や旅館がまるで手品のように生まれ変わった。町並みに調和する黒塀を作り、小路に緑を植える…。行政に頼らず市民自らが町並みに磨きをかけていくプロジェクトが連鎖している。
「最近、町屋の再生に取り組んで良かったなぁとつくづく思う。訪れた人に喜ばれ、店の売り上げも伸びる。何より、店の人が楽しそうに働いているのを見るのが、うれしくてうれしくて」
観光とは一体何か−。村上にはそのヒントが、たくさん詰まっている。(永岡栄治)
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【プロフィル】吉川真嗣
きっかわ・しんじ 昭和39年2月9日生まれの44歳。新潟県村上市出身。早大商学部を出て東京の商社で働いていたが、平成2年、生家の鮭料理加工販売業を継ぐため帰郷。10年、村上町屋商人(あきんど)会を結成し、会長に就任した。16年、国土交通省認定の観光カリスマ百選に選ばれた。