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ホテルに図書館移転 新潟・上越

2008.8.28 02:26

 新潟県上越市で、老朽化した市立直江津図書館を平成22年秋にJR直江津駅前のホテルの一部に移設する計画が、波紋を広げている。公共の施設を民間施設に併設し、利用者の増加と市街地の活性化につなげようという一石二鳥の手法だが、市民からは「傾いたホテルの経営を助けるだけ」などと批判も続出、議会でも大もめにもめた。本当に利用しやすい市民本位の図書館に生まれ変われるのか、具体的な整備計画が注目される。(原圭介)

 計画では、同市西本町にある市立直江津図書館(昭和35年建設)と併設の社会教育館(同42年建設)を1キロ弱離れたJR直江津駅前のホテルセンチュリーイカヤの1〜3階部分に移転する。老朽化に加えて約1230平方メートルと手狭な床面積を移転で約4250平方メートルに拡大できるのもメリットだ。

 いまの計画では、1階と2階の一部に「にぎわい交流機能」、2階の一部と3階に「図書館機能」を持たせる。とくに「にぎわい交流機能」は、新しいアイデア。1階には地域をPRする「直江津コーナー」や「世代間交流コーナー」「ギャラリー兼イベントホール」など、2階には子どもたちが遊んだり、交流できるように、「乳幼児プレールーム」や「児童コーナー」「おはなしコーナー」などを設置する。

 問題になったのは、移転に関するホテルとの交渉経過をめぐる情報開示不足。買収費用4億5000万円を補正予算に計上した6月議会が紛糾して採決が見送られ、7月に開かれた臨時会では6会派が賛成、2会派が反対で、ようやく可決された。

 5月下旬から6月15日にかけて実施した計画に対する市民からのパブリックコメントでは、「地理的に好ましく、移動を公共交通機関に頼る年代には喜ばれる」など賛成意見のほかに「図書館はまちのにぎわい出しのために作るものではない。文教地区に置くのがふさわしい」との反対意見も寄せられた。

 反対意見ではとくに、「『イカヤ』の言い値で買い取るのでは?」「直江津になくなっては困るというホテルを救済できるという一石二鳥」など、ホテル側と市の交渉に対する不信感も目立った。

 担当する市教育委員会総務課は「全国的にも駅前に移転した図書館は利用者が2〜3倍に増えて成功している」として、数年後に市立直江津図書館については、年間約7万5000人が約11万7300人に、社会教育館は約17000人が約2万4800人に増えると期待している。

 しかし今後、取得費のほかに設計費、備品購入費など9億円余りの事業費、年間約3000万円の維持管理費、さらに増大する人件費も見込まれている。

 現在、町内会、PTA、商工、JA関係者など27人がメンバーの「整備検討委員会」が開かれ、利用者がもっとも使いやすい構造や利用方法について9月に意見をまとめ、基本設計の発注に反映させることにしている。いいアイデアを集めて、コストに見合った利用促進を図ることが、市民からの批判をやわらげる最大の近道といえそうだ。

 ■中心市街地への公共施設移設 公共施設を駅前など中心市街地に移設して活性化につなげる手法は最近、全国で取り入れられている。新潟県内では、長岡市が平成13年4月からデパート跡の建物に市民センターを移設したのを皮切りに分室など4件の公共施設を中心市街地に移している。

 図書館の移設では、長野県上田市が平成16年4月から、JR上田駅の駅ビル「パレオ」内に「上田情報ライブラリー」をオープンさせた。図書や雑誌、新聞のほかにインターネットのデータベース、DVDなど映像資料の利用、NPO中心のセミナー、企画展開催などで、年間延べ17万人(19年度調べ)の来館者を集めている。

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