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予防は自衛の徹底 パンデミック想定 長野県内で新型インフルエンザ対策訓練
10月、新型インフルエンザの対策訓練が長野県内で2回にわたって実施された。パンデミック(世界的な大流行)を想定し、行政などの準備は着実に進んでいるように見えるが、相手は姿が見えない未知のウイルスだ。事前にできる準備が限られる中、感染拡大を抑えるかぎは感染者や市民1人1人の行動という。(高砂利章)
新型インフルエンザ対策で最も難しいのは、不確定要素が多過ぎることだと専門家は指摘する。
「実際に発生してみると全く想定しなかったようなシナリオとなるかもしれない。鳥インフルエンザを起こすH5N1型ウイルスで発生すれば大変なことになることは分かっているが、他にも大流行を起こす可能性のあるウイルスはいくつもある」
佐久総合病院(佐久市臼田)で10月に開催された訓練に助言者として参加した東北大学大学院医学系研究科の押谷仁教授は、新型インフルエンザ対策の難しさをこう説明した。
敵が“未知”のウイルスである以上、ワクチンを事前に用意するのは困難で、政府が備蓄を進める抗インフルエンザ薬「タミフル」でさえ効果があるかどうか分からないのが現状だ。
さらに押谷教授は「(2002年から翌年にかけてアジア各国で死者を出した)SARS(重症急性呼吸器症候群)のときのように、新型インフルエンザも封じ込めできると誤解している人が、今も医療関係者の中にもいる」と続ける。
実際には都市部で患者が発生すればパンデミックは避けようがない。今回の訓練で、患者が発生した場所を「山々に囲まれた人口4000人のA村」としたのは、新型インフルエンザ封じ込めの可能性があるのはせいぜいこのサイズの村までだからで、もっと大きな町や市で患者が発生した場合、その先にあるのは、長野県だけで約50万人が感染、3万7400人が入院、1万2100人が死亡する−という推計だ。
この数字さえ、スペイン風邪など過去のインフルエンザをもとにしたもので、H5N1型で発生すれば死者数のケタが大きく異なってくることになる。
各自治体で行われている対策訓練も、その中身は、関係機関の連携確認や医療関係者の感染防止、社会が混乱しないための対応が中心で、感染者を減らすことを目的としたものとはいえない。受診医療機関の整備、抗インフルエンザ薬の備蓄といった行政が進める準備の効果も定かでない中、「間違いなく感染拡大を抑えることにつながるのは、個人個人の注意深い行動」と、厚生労働省新型インフルエンザ対策推進室の高山義浩医師は指摘する。
では、新型インフルエンザにかかっているかもしれないと思ったらどう行動すればいいか?
答えは「急いで近隣の病院に行く」ではない。体が弱っている人が集まる病院に何の対策もなく感染者が訪れたら、感染はあっという間に広がる。「保健所などに設置される予定の『発熱相談センター』にまず電話をする」というのが正解。センターの指示に従い、感染を防ぐ対策が整った医療機関を受診することが重要となる。
また、簡単にできる自衛策として、(1)外から帰ってきたらうがいをする(2)食事前に手を洗う(3)せきが出るときはマスクをする(4)流行しているときは外出を自粛する−など。高山医師は「かつては当たり前に行われていた衛生習慣を徹底することが、感染を防ぐために一番大事なこと」と呼びかけている。
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【用語解説】新型インフルエンザ
毎年流行するインフルエンザとは異なるウイルス感染症で、過去に免疫を持っていないため、人から人へ簡単に感染し、パンデミック(世界的大流行)を引き起こす危険性がある。政府は過去のデータに基づき、人口の1/4が感染し、53〜200 万人が入院、17〜64万人が死亡すると推定するが、感染力やどの程度の病原性を持つウイルスで発生するかは不明。