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世界遺産 文化庁が暫定リスト発表
世界文化遺産登録への前段階として文化庁が取りまとめた暫定リストが先月26日に発表された。甲信越地方では新潟県の「佐渡金銀山」が新たに加わった一方、長野県内の4候補はいずれも未掲載に。登録への道程が年々険しくなっている現状に戸惑う関係者もいる半面、リスト掲載に向けて「与えられた課題をクリアしたい」と前向きな姿勢をみせる担当者もいた。(高砂利章)
【善光寺と門前町】「民衆に広く浸透した善光寺信仰に基づき、庶民に開かれた独特の都市景観を形成してきたことを示す資産」として価値を認められながらも、「寺社とその門前町関連の代表例・典型例として普遍的価値を持つことの証明が不十分」「国内外の寺社と門前町との詳細な比較研究が必要」とさまざまな課題を与えられた。
長野市文化財課の山口明課長補佐は「暫定リストへの掲載を期待していただけに非常に残念な結果となった。与えられた課題を踏まえ、今後の活動については地元の関係団体などと協議して決めたい」と話した。
【松本城】単独での登録が困難なことは織り込み済みで、すでに登録されている姫路城(兵庫県姫路市)のほか、犬山城(愛知県犬山市)、彦根城(滋賀県彦根市)とともに「国宝4城」での申請を目指すための研究会も発足している。
審議会では「日本の城郭の類型・発展過程を明らかにしつつ、城郭の空間構造や、成立条件となる社会・経済的な諸要素などの観点から比較研究を行うこと」などと指摘されており、松本城の小穴定利管理事務所長は「課題の具体的な内容が示された。今後はそれに沿って調査研究を進め、普遍的価値を高めてゆきたい」と意気込みを話した。
【妻籠宿(つまごじゅく)など】前回提案で「継続審査」となった際に与えられた課題をもとに、今回は中津川市との共同提案とし、文豪・島崎藤村の位置付けも加えるなどして臨んだ。「カテゴリーIb」という結果に対して南木曽町教委の遠山高志教育長は「新たに課題を課せられたが、それならなぜ最初に言ってくれなかったのか。どんどんハードルが高くなる」と困惑する。審議会では、木曽路全体を視野に入れた検討が必要−とされたが「そうなると塩尻市や木曽郡全体も含めた新たな組織づくりから始めなければならなくなる。また木曽路11宿の中には、保存状態などで世界遺産にふさわしいかどうかも検討が必要になってくる」と話した。
【製糸業遺産】テーマや内容を大幅に見直す必要−とされる「カテゴリーII」に分類されたが、岡谷市教委の長崎元廣文化財主幹は「とても厳しい結果だが、手を挙げたのはまだ昨年。スタート地点に着いたばかりだし、総合的評価は高い」と今後の活動に自信を見せる。
審議会では「(日本が蚕糸業で近代化を果たす原動力となった)諏訪式繰糸機の発祥の地であり、製糸に関する技術革新の系譜をたどれる資産として価値は高い」と高く評価。課題として「資産が持つ顕著な普遍的価値の証明が不十分」とされており、長崎主幹は「県内などの製糸関連資産との連携も視野に入れたい」と活動の展開を語った。