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町内完結サイクルを 信濃町で「地燃料」生産実験進む
地元で採れる稲わらやもみ殻からアルコール系燃料のバイオエタノールを作る研究が長野県信濃町で進んでいる。コンセプトは、「地酒」をもじって掲げた「地燃料」の開発。将来的には、町内の畑で使うトラクターや軽トラックなどの燃料に使う算段だ。“自給自足”を目指すエネルギーを探った−。(比嘉一隆)
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長野県信濃町柏原にバイオエタノールを生産する実験棟がある。東京大学の農学生命科学研究科と生産技術研究所、環境コンサルタント会社「総合環境研究所」(松本市)が平成18年度から始めた共同事業の研究拠点だ。
施設内には、コメを収穫したあとの稲わらが切り刻まれてタンクの中に詰められていた。これが、町内の農家から年間4500トン出るエタノールの要の資源だ。もみ殻の1200トンとあわせれば計5700トンに上る。このうち、半分をエタノールに回すことができれば、町内の年間ガソリン消費量の10%程度に相当する 570− 600キロリットルをまかなえる計算だ。
目下、東大の五十嵐泰夫教授(応用生命工学)らの主導のもとで、効率的に生産する技術の確立に取り組んでいる。17日には、象徴的な第一歩として、信濃町役場の公用車に使うガソリンに3%の地燃料のエタノールを入れて走らせた。
バイオ燃料の研究は、民間を含めてさまざな機関で行われているが、信濃町では、「収穫→燃料化→生産」のサイクルを町内で構築する絵図を描いているのがミソだ。「農業をめぐるエネルギーの自給を改善したい。今のように原油価格が上がっては、農家ががんばり切れない」と五十嵐教授は語る。
エタノールを作るボイラーの燃料には、リンゴの刈り込み枝を活用。エタノールを採ったあとのかすは堆肥(たいひ)などに使っている。食用米とは違う多収穫の飼料米を生産してエタノールを抽出する実験もしていて、「休耕田の活用の可能性」(総合環境研究所)を見いだすのが狙いという。
信濃町で、こうした「地燃料」の供給態勢のノウハウを蓄積し、全国に応用するのが構想だ。
今年7月の洞爺湖サミットでは、食べ物以外の植物から生産するバイオマス燃料の開発を加速する声明が発表された。背景にあるのは、食糧価格の高騰への懸念。世界的なエネルギー需要の拡大は、原油をはじめバイオ燃料の主な原料のトウモロコシなどにも投機的な資金が集まり、飼料価格の高止まりを招いている。途上国の食糧事情の不安定化は深刻だ。このため、食料と競合しないバイオマス燃料の必要性を指摘する声は強まっている。