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佐久「安養寺らーめん」仕込み中 ご当地みそ、6店協力
全国3分の1のみそ生産量の誇る長野県。その信州みそ発祥の地とされる安養寺のある佐久市で、ひとつのプロジェクトが動き出した。地元商工会議所と個人ラーメン店主らがタッグを組み、お寺ゆかりの「安養寺みそ」を材料に、ご当地ラーメン作りを今春からスタートさせた。果たして佐久鯉と並ぶ地元名物を生み出すことができるか。(高砂利章)
信州そばのイメージが強い長野県だが、住み始めて分かった。ラーメンのレベルもなかなか高い。県内北から南まで、自分の舌と腕を頼りに勝負する個人店が百花繚乱(ひゃっかりょうらん)。店と店、店とタウン誌のコラボ(連携)などもあり、ラーメン文化が花盛りだ。
ただ泣きどころもひとつ。豚骨、節系、二郎系、それぞれの味の名店はあっても“信州の味”がないところだった。しかし、ようやくご当地ラーメンを生み出そうという動きが、信州みそ発祥の地とされる佐久市で始動した。中心となっているのは、佐久商工会議所と、市内の個人ラーメン店6店で作る「佐久拉麺会」。会は加盟6店のうち2つが道をはさんで相対するふだんは熱いライバル同士なのだが、「仏・農・商工・官の連携で特産品を生み出し、たくさんの人を佐久に呼び込もう」という思いでひとつになった。
どの店も東信地方を代表する有名店。腕自慢の店主たちがテーマとして挑むのは、由緒正しき長野の味“安養寺みそ”。信州みその起源とされる安養寺で、住職自ら種をまき、寺周辺の約40アールで栽培された大豆と、佐久平で採れたお米、天然塩を使い、通常は半年のところ、じっくり2、3年熟成させたもので、生産販売を行っている和泉屋商店(佐久市)の阿部博隆専務(33)によると、「見た目も赤みが強く、味は変なしょっぱさがなく、ほどよい甘さが特徴」という。
今月14日には6店の店主が勢ぞろいし、会共通の1品を開発すべく、試作品作りを行った。鶏ガラベースとトンコツベースの2種類のスープに、安養寺みそ100%、80%の2種類のみそをそれぞれ掛け合わせてみた。しかし、麺(メン)バーの印象は「インパクトがない」「麺にスープが絡まない」「カップラーメンみたい」と厳しい。ただ、同会代表で「らうめん助屋」の金子祐一さん(29)は「難しいからこそ、おもしろい」。
全国各地で安易な名物作りが氾濫(はんらん)しているが、関係者の「安養寺らーめん」に対する本気度は高そう。新商品開発の手始めとして、先月16日に安養寺を訪ね、田嶋英俊住職から寺の歴史とみそ作りの由来などを聞いたほか、今月21日にはそろって大豆の種まきまで行うという。
今後も開発を進め、順調に行けば8月末に、安養寺である檀家(だんか)の集まりで6店共通の「安養寺らーめん」を披露。他にも6店が、それぞれオリジナルの味のらーめんを発表する予定になっている。仕込みは上々。さて、安養寺の“開祖”覚心上人も納得する味はできあがるだろうか。
■信州みその起源 長野県味噌工業協同組合連合会発行の「信州味噌の歴史」や安養寺によると、鎌倉時代に松本市出身の僧・覚心が宋時代の中国で修行した際、みその作り方も学んだ。帰国後、大衆の中で布教に努めた覚心は、それまで貴族の食卓を飾る食べ物だったみそも同時に広く庶民に広げたとされる。覚心は故郷にも2つの寺を開いたが、そのひとつが安養寺で、信州ではこの安養寺で特にみそ作りが盛んに行われたとされる。しかし県内での普及の経過ははっきり分かっていない。