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「芸者塾」で花街よ再び 市民にも講座 長野・上諏訪温泉

2008.5.9 03:42

 長野県南部の諏訪湖のほとりにある上諏訪温泉一帯で、花柳界のにぎわいを復活させる取り組みが始まった。現役の芸者たちが踊りなどの芸を教える塾が誕生。芸者の養成のほか、市民の学びの場としても広く門戸を開いた。あでやかな三味線の音色が響く街の風景はよみがえるか−。(比嘉一隆)

 明治、大正期から製糸業で栄え、精密機械工業が盛んな諏訪市。昭和30年代は 200人を超える芸者が集まったといわれ、「だんな衆」と呼ばれたひいきの実業家や社用族の宴席に花を添えた。しかし、今や社交場だった料亭さえ消え、花柳界は風前のともしびにあるのが現実だ。

 「もうやっていけない」。市内で3人にまで減った芸者の一人、小林悦子(芸名・千代丸)さん(69)から窮状の相談を持ちかけられた諏訪市の社会福祉法人理事長の鈴木丈史さん(59)は、閉鎖の危機にあった芸者の協同組合を継承。「諏訪大手見番協同組合」の理事長として、昨夏から立て直しに動き出した。

 まずは、戦前に建設された芸者の取り次ぎや玉代を仕切った「大手見番」の建物を修理し教室にリニューアル。4月2日に「諏訪大手見番邦楽学園」を開校した。

 学園は3コースを用意。「芸妓コース」は三味線、太鼓、踊りを習いながら、芸者として働きたい人の募集を兼ねる。「特別コース」は長唄の技術を磨きたい人が対象だ。三味線を教える「初級コース」は地元の小学生も受講。講師には、50年にわたり花柳界に身を置く小林さんらがあたっている。芸者を日本文化の伝承者と位置づけ、市民にその価値を見直してもらう狙いもあった。

 テコ入れをしたかいもあって、半年あまりで20−30歳代の3人の女性が新たに芸者の道に飛び込んだ。4月17日には、諏訪商工所の観桜会で、その1人の木本なぎさ(芸名・あずさ)さんがデビューを飾った。まだ、踊りができないが、先輩の舞いにあわせて、鐘を打ち、約 200人の出席者から拍手を浴びた。

 諏訪商工会議所の有賀昭彦会頭も「諏訪には、海外からビジネスマンも来る。フジヤマ、ゲイシャというように、外国人は芸者の芸を見たいはず。諏訪の話題を持ち帰ってもらえるチャンスになる」と有望な観光資源として、期待を寄せている。

 とはいえ、最近の宴席の余興は、カラオケが主役になることもしばしば。芸者の芸の柱である和楽器の音にふれる機会がそもそも減っている。そこで、大手見番は施設内に「和風ライブハウス」の設置を計画中だ。三味線や長唄、落語などを催して、愛好家の裾野を広げるためだ。

 「日本人は、鐘や太鼓の音の響きを懐かしく思う気持ちがあるはず。そんな情緒を育てたい」。小林さんはこう語った。

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 ■諏訪大手見番邦楽学園【初級コース】三味線を習う。入学金2000円、月謝は小中学生4500円、一般6000円。毎週木曜日夕方【特別コース】長唄などの技術の鍛錬。入会金2万円。けいこ月4回1万5000円【芸妓コース】20〜35歳くらいまでで、芸を学びながら芸者として働く人が対象。問い合わせは事務局(電)0266・52・8123。

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