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地蜂せんべい、伊那郷丼…信州の「虫食」いかが?

2007.12.15 02:58

 貴重なタンパク源として、日本人の胃袋を満たしてきた昆虫。多くの地方でその食文化は姿を消したが、長野県では郷土の珍味として根強く残る。信州の昆虫食事情を探った。(比嘉一隆)

 県南部を流れる天竜川の冬の風物詩、ザザムシ漁が12月1日、解禁された。「ザザムシ」とはカワゲラなどの川虫の俗称で、「ざーざー」と流れる川の音が由来ともいわれる。

 宮田村の春日政美さん(84)はザザムシ採りの愛好家。今シーズンも天竜川漁協が販売する「虫踏許可証」を頭に巻き、長靴を履いて川へ。慣れた手つきでくわを使って川底の石をかき、四つ手網で次々と虫をすくう。

 「昔はこれがいっぱいになるほど採れたんだが…」と春日さんは、バケツの底から3分の1程度に入ったザザムシを見て少し悔しがった。

 つくだ煮は香ばしさと魚のような風味があり、酒と相性がよい。春日さんの長女、洋子さん(59)夫婦が営むすし店でときどき出すが、「大喜びで、マゴタ(ヘビトンボの幼虫)ばかり選んで食べる年配の人がいる」(洋子さん)という。

 流通がスムーズになり、さまざな食材が手に入る世の中になっても、虫好きは絶えない。

 「生きイナゴ入荷の広告を出すと、20人くらいお客さんが並んでいる」

 塚原川魚店(伊那市)の塚原保治社長はこう話す。イナゴの“旬”となる夏から秋にかけて、生きイナゴを1キロ3800円で販売。かつては、学校活動の資金集めを兼ねて小学生に採ってもらっていたが、8年くらい前にやめて、今は「とり子」と呼ぶ虫取りのプロに任せている。

 「あぜ道の側溝がみんなコンクリートになって、子供が落ちるとけがをしてしまう。また、お金になるので大人にやってもらえるようになった」(塚原社長)のが理由という。買い付けには新潟や山形など他県にも行く。「イナゴは中国産が増えているが、うちは国産にこだわる」(塚原社長)と胸を張り、国産ブランドへの信頼はイナゴにも及んでいる。目下、新商品の「イナゴせんべい」を考案中だ。

 大町市では大町地蜂愛好会(会員約60人)が、クロスズメバチを6匹程度入れた「地蜂せんべい」を今年8月から毎月200袋で発売した。越冬できずに死ぬ運命にあるクロスズメバチの働きバチを秋に捕まえて、湯がいて乾燥。せんべいの具にする。「予想以上の人気で、来年分のハチも確保した」(萱津虎雄会長)。

 「レストラン ときわ」(宮田村)には、郷土食材をふんだんに使った「伊那郷(いなご)丼」が登場した。イナゴ、蜂の子、それにシカ肉の大和煮などをトッピング。ザザムシは好みがあるので、小皿に別盛だ。

 工夫を凝らして受け継がれる昆虫食だが、否めないのは若年層の虫離れ。それでも、「ときわ」の太田光一社長は、「異常気象や資源問題などで将来、世界的な食糧難がくるかもしれない。そのときは、必ず昆虫が注目を浴びる。食文化は守っていく意味は大きい」と熱く語る。

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