ニュース:地方 RSS feed
「売り込め地域ブランド」 長野市ゆかりの著名人連ね、売り込み強化
大都市での知名度アップに自治体が力を入れている。長野県内では、法律バラエティー番組で人気の北村晴男弁護士ら首都圏で活躍する長野市ゆかりの著名人が名を連ねた「ふるさとNAGANO応援団」を同市が組織し、“口コミ効果”を強化。今月、県が東京などで開く観光キャンペーンの情報交換会には、「そば打ち5段」の技を持つ板倉敏和副知事(元消防庁長官)が出向き、信州のそばの魅力を訴える予定だ。取り組みの背景には、都市部を舞台にした「地域ブランド」の個性化競争がある。(比嘉一隆)
10月下旬、都道府県会館(東京都千代田区)で行われた「ふるさとNAGANO応援団」の初の意見交換会には、キヤノンや信越化学工業など上場企業の役員や大学病院の医師、作家ら約20人が出席した。
応援団といっても、誰でも入れる公募ではなく、市側が選んだ各界の著名人ばかりというのがミソ。会合には欠席したが、作家の猪瀬直樹・東京都副知事も加わった。
席上、鷲沢正一市長は「冬季長野五輪で知名度は上昇したが、もう一段のブランド力をつけたい。多方面への情報発信をお願いしたい」と懇願。メンバーに配布した「ご支援のお願い」とした文書には、著作や映画の舞台、登場人物として長野市出身者の起用▽講演中に長野市の話題挿入▽学生ゼミ合宿の候補地への推薦−など、さまざまな陳情が盛り込まれていた。
長野県中部のブドウ産地の塩尻市は世界的コンクールで賞を受けるワインが自慢品の一つだが、「甲州ワイン」に比べると知名度は低い。市は「塩尻」のブランドイメージの確立が課題とみている。そこで、10月1日、総務部付「地域ブランド担当」の肩書の専任者を配置した。観光、農業、商工などで縦割りになりがちな組織を調整し、総合的にブランド戦略を進めるのが狙いだ。赤羽修・地域ブランド担当は「来年は、市民と一体となって、大都市への活動を含めた実践に移したい」と意気込む。
◇
長野県は、芸能人御用達の飲食店も多いといわれる東京・麻布十番で5月から毎月「信州の旬」をテーマに特産品を売る農産物祭りを開催。さらに今月、東京都千代田区、大阪市、名古屋市で旅行代理店や雑誌関係者らを対象に開く観光の情報交換会には、市町村の首長クラスの参加が予定され、板倉副知事は東京と大阪で、そば打ちの腕前を披露する。
こうした動きは、いずれも、巨大マーケットを標的にした宣伝の一環だ。
ただ、ライバルは多く、コンサルティング会社「ブランド総合研究所」の田中章雄社長は「都道府県の中で、地域の魅力に付加価値をつける施策に取り組んでいないところはなくなった。一時、さびれていた地方のアンテナショップはどこも人気」と指摘する。東京・表参道にある新潟県のショップ「表参道・新潟館ネスパス」は、昨年12月に食品スペースを倍増。年間売り上げ目標3億円を1カ月前倒しで達成した。
都市部で評価を高めた先に、自治体が一様に描くシナリオは、市場競争力の強化→産業振興→交流人口の増加→ヒト・モノ・カネの流入ーといった好循環だ。地域ブランドは、人口減少に伴う活力低下に歯止めをかける最初のテコにほかならない。もはや、「ブランドを作らなければ(衰退して)合併されたり、過疎化が進んでしまう可能性がある。生き残りのための策」(田中社長)とさえいわれ、その重みは増している。