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冬季国体“長野モデル”はスリムに 式典は簡素化

2007.10.25 03:20

 来年1月26日、長野県で開幕する冬季国体(第63回国民体育大会冬季大会)まで100日を切った。掲げるスローガンは「簡素で効率的」な大会運営。国体といえば、莫大(ばくだい)な費用がかかるイベントの代名詞のような存在だったが、厳しい財政事情の中、もはや過去の常識は通じなくなった。国体のあり方に一石を投じる“長野モデル”の取り組みを追った。(比嘉一隆)

 「国体の選手と同じようにがんばるように。つま先をピッとして!」

 先生の指導の声のもと、練習に励むのは長野市立裾花小学校の「ポプラ マーチング バンド」。児童たちは、今冬季国体開会式のアトラクションで花を添える大役を担うことになった。

 平成11年に長野県で行われた冬季国体(ながの国体)の開会式では、東京女子体育大のフィギュアスケート部が演技を披露、吹奏楽団と合唱隊も新規編成されたが、今回は大幅に簡素化。アトラクションは既存の地元の学校、市民グループなどに依頼し、諸経費削減に貢献してもらう格好だ。

 スケート競技を開く長野市実行委は、接待所で選手に振る舞う軽食メニューを変更する。

 「以前は豚汁でしたが、おやき(野沢菜などの具を小麦粉皮で包んで焼いた長野県の郷土食)とリンゴにします」と国体・全中スケート大会の田口裕一・事務局長補佐。

 豚汁をやめたことで、火気の使用に必要なコンテナハウスの設置費が浮く。スタッフの識別ユニホームは3万円した厚手の防寒具から、薄手のナイロン生地の1700円のベストに変更。スキー競技会場の野沢温泉村実行委のスタッフユニホームは帽子だけだ。

 宣誓台やトロフィー台などの式典用具一式は、61回「尾瀬国体」(群馬)の開会式用に群馬県が作ったもの。62回「秋田わか杉国体」に流用され、さらに今回、長野県がトラックで秋田から運んできた。新調すれば100万円かかる経費は、運搬費だけですんだ。

 軽井沢町のアイスホッケー競技は、国体の開催要綱では3面のスケート場が必要だが、特例として2面で実施。日程消化のため、休憩時間の短縮などのスケジュールをやりくりして対応するという。

 支出を減らす一方で、収入を増やす仕組みも整えた。

 日本体育協会は今冬季大会から、企業協賛制度を解禁した。200万円以上の協賛企業なら、選手インタビューの際にテレビに映るバックパネルに企業名を入れられる。大会のパンフレット代も協賛金から捻出(ねんしゆつ)する考えという。

 スキーとスケート競技(アイスホッケー含む)の同時開催は、平成10年(岩手県)以来、長野県では21年ぶりだ。しかし、もともとは、スキーは長野県で引き受ける予定はなく、想定外の出来事。主催団体の日本体育協会、全日本スキー連盟は富山県や秋田県など複数の県にスキー競技の受け入れを要請したが財政難などを理由にいずれも断られ、今年2月になって長野県に話が回ってきた経緯がある。「長野で断られたら、中止するつもりだ」。競技団体の関係者がこうもらすほど、追い込まれていた。

 長野県も当初、受け入れに難色を示したが、事業費予算を圧縮し、開催のメドを立てた。

 「冬季国体は結局、一部の道県に偏らざるを得ない宿命がある。『おれのところで休止になるのか』という心理的プレッシャーを私自身感じた。そういう目に遭うのはもうこりごり」

 今年2月末、受け入れを決めた際の会見で村井仁知事が語った言葉。スリムな国体の裏には、冬季国体が押し付け合いになっている悲しい事情がみえる。長野県のあと、再来年の冬季国体のスケート競技の会場もまだ、決まっていない。

■早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦教授(スポーツ産業論)の話

 「冬季国体の受け入れに自治体が消極的になっている背景には、国内の冬季スポーツの人気低迷がある。レジャーの多様化で、スキー人口は最盛期の半分。企業の運動部は株主への費用対効果の説明責任が強く問われるようになった中で、縮小され、いい選手が育ちにくい環境になった。さらに温暖化で冬のスポーツに参加する機会が減って国民の関心も低下している。自治体の負担を減らし、受け入れやすくするには、屋内でやれるスケート競技を秋の国体に組み入れたり、国体参加を見送るケースが目立つスター選手を参加させたりする工夫がいる。『国民体育大会』とは違ってしまうが、アジア規模に拡大した冬季スポーツ大会に抜本的に改革してはどうか」

■第63回冬季国体

 愛称は「長野かがやき国体」。開催期間は来年1月26日〜2月22日。スキー競技は野沢温泉村、スケート長野市、アイスホッケー軽井沢町の3市町村が会場。長野県実行委員会(3市町村除く)の冬季国体の開催費は総額1億4900万円で、信濃路国体(昭和62年)に比べて、事業費は半分。課題は経費削減とホスピタリティー(おもてなし)の両立だ。冬季国体は新潟、山梨、北海道、青森、宮城などの「雪のある県」で主に持ち回りで開催。日本体育協会など関係者の間では、開催実績のない県からの分担金拠出や高校総体との統合も検討課題に浮上しているが、調整がつかず、負担軽減の解決策は見いだせていない。

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