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【主張】消費者庁 組織論先行より実効性を
福田康夫首相が来年度の発足に向け、強い意欲を見せる「消費者庁」の基本的骨格が示された。政府の消費者行政推進会議(座長・佐々木毅前東大総長)が最終報告で明らかにしたものだ。
食品偽装はじめ消費者被害の拡大が指摘されているなかでは、縦割りの対応を排し、効率的で消費者目線に立った行政の一元化そのものに異論はない。
だが、あえて新組織の独立官庁をつくるというなら、それに見合う実効性の確保が必要だ。屋上屋を架す組織の肥大化だけなら意味はない。行政改革に逆行する組織づくりであってはなるまい。
「食の安全」ひとつとっても、国民の不安は高まるばかりだ。中国製ギョーザによる中毒事件では消費者の通報がなかなか行政に届かず、国と自治体間の連携が取れぬまま被害が拡大する縦割り行政のまずさが浮き彫りになった。
詐欺まがい商法の横行に加え、欠陥商品でも、ガス湯沸かし器事故など生命にかかわる被害が目立っている。事故の多様化、手口の巧妙化に行政は追いつけないでいるのが実情である。
消費者庁構想が、政府が消費者行政の見直しに本腰を入れる表れとするなら、国民にとっては歓迎だ。肝心なのはその中身だ。
新組織は、消費者行政関連の関係法律を既存省庁から移し、一元的に所管する。具体的には、消費者相談や食品・製品の安全性チェック、さらに政策の企画、立案まで幅広く担当する。報告書は監督官庁に行政処分などを促す是正勧告権の付与も求めている。
しかし、首相の指示に反して仕事を奪われる形となる経済産業省、農林水産省、厚生労働省などからは、いまだ強い抵抗・不満の声が聞かれる。
首相は消費者庁創設にあたり、「行政の肥大化との批判を招かぬよう、法律、権限等を移管する府省から機構・定員を振り替える」との基本原則を示している。その公約はぜひとも貫いてほしい。
政府は、最終報告をもとに「消費者庁設置法案」(仮称)を策定し、秋の臨時国会に提出する方針だ。内閣支持率の下落に歯止めがかからぬ首相には、政権浮揚の切り札にしたいとの思惑も見え隠れする。
首相が「生活者、消費者が主役となる社会の実現」と強調するのならば、その趣旨が生きる組織構築への目配りも欠かせない。