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【産経抄】4月1日
このニュースのトピックス:東京都政
戦後の日本が奇跡的な経済復興を成し遂げられたのはなぜか。吉田茂元首相は、昭和42年に発表した論文「日本を決定した百年」(中公文庫)のなかで、こう述べている。攘夷(じょうい)に失敗して西欧列強の力を知った武士たちが、開国に踏み切ったように、日本人が「よき敗者」だったからだ、と。
▼昨今のリーダーたちの振る舞いをみても、この指摘は示唆に富む。東芝の西田厚聡社長は、新世代DVDの規格「HD DVD」からの撤退を決め、たった一人で記者会見に臨んだ。
▼かたや石原慎太郎東京都知事と、都議会与党の自民、公明両党は、新銀行東京を潔く廃業する機会を逃した。いわゆるガソリン政局のなかで、民主党の小沢一郎代表が、「よき敗者」となる選択肢はなかったのだろうか。
▼平成21年度から道路特定財源を一般財源化する新提案を、福田康夫首相から引き出しただけでも、民主党は大きな成果を挙げたといえる。この提案をもとに、話し合いに応じれば、確かに短期的には、首相の政権延命に手を貸すことになる。
▼ただ長い目でみれば、道路族を押さえ込み、土建国家からの転換を主導したことで、政権担当能力を強くアピールできたはずだ。しかし、民主党はあくまで、ガソリンの値下げをてこに、倒閣に突き進む構えだ。首相と小沢氏は、引くに引けないチキンゲームを繰り広げるしかない。
▼評論家の粕谷一希氏によると、論文の本当の筆者は政治学者の高坂正堯氏であり、元首相が書いたのは「はしがき」だけという。そのなかで元首相は、政治指導者に何より求められるのは、すぐれた「勘」だといっている。首相と小沢氏、どちらの勘がすぐれているのか。決着がつくまで、国民生活の大混乱は続く。