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【政治家の隠れ家はここだ】福田首相に口出ししたのは誰?
■口悦(東京都港区赤坂)
赤坂の料亭街の中でも、ひときわ存在感のある高級日本料理店。「東京物語」で知られる日本映画界の巨匠、小津安二郎氏が店名を「口悦」と名付けたことでも知られる。
政治家の利用は数かぎりなく、ひとつひとつ列挙していたらきりがない。最近では、3月26日に、自民党の小泉純一郎元首相、武部勤元幹事長、中川秀直元幹事長、二階俊博総務会長らが会合を開いた。この会合の中で、窮地にある福田康夫首相を励まそうということになり、小泉氏が他の出席者から、「首相に電話して励ましてほしい」と促された。しかし、小泉氏はそれを断った上で、筆をとり、「不在其位 不謀其政」(その位にあらざれば、その政を謀らず)としたためた。これは論語の一節で、「その地位にいるのでなければ、余計なことに口出しすべきではない」という意味。小泉氏は現職の首相ではないのだから、福田首相の仕事にあれこれと注文をつけるべきではないという意味を込めて書いたものと思われる。
それにしても、こんな席でいきなり筆をとるとは、さすが小泉氏、なかなか芝居がかったことをする。
ただ、小泉氏の最近の言動は、自らが揮毫(きごう)した書を実践しているとはどうしても思えない。2月22日、東京・八王子市内での講演では、道路特定財源の一般財源化に関して、「福田康夫首相が言えば、自民党も妥協に動く」と発言。福田首相は3月27日の緊急記者会見で平成21年度からの一般財源化を打ち出し、小泉氏の言った通りになった。小泉氏はけっこう首相の仕事について発言しているし、しかもそれが現実化している。「不謀其政」はどこにいったのか。
平成11年9月24日夜、口悦に当時の自民党森派(現、町村派)幹部が集まった。小渕恵三首相が自民党総裁選で再選された直後で、党役員・閣僚人事をめぐる自民党各派の駆け引きが激しさを増していたころのことだ。当時の派閥会長、森喜朗氏は党幹事長の要職にあったが、小渕首相サイドからは外相就任を打診されていた。
しかし、この宴席で、外相就任に猛然と反対したのが小泉氏。自民党内の力学から言えば、外相よりも幹事長の方がずっと重要なポストである。小泉氏は 「清和会(森派)で幹事長ポストがとれなければ、党役員と閣僚から全員引き揚げさせろ」と森氏に迫ったという。結局、森氏は幹事長を続投する結果になった。それが幸いしたのかどうか、半年後の12年5月、小渕首相が急逝した際には、首相の座が森氏に転がり込んでくることになった。(政治部 五嶋清)