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【竹中平蔵ポリシー・ウオッチ】日銀、目標と要件なき人事 (1/3ページ)
■政府与党に欠けるもの
日銀総裁人事問題をめぐる政治の混乱は、目に余るものがある。日本は中央銀行のトップも決められないという現実に対し、市場は従来以上に厳しい目を向けている。
いま、与党は野党を批判し、野党は与党を批判し、そしてメディアは政治全体を非難している。しかし私は、こうした一連の論議そのものが多分に的外れであり、結果的にそれが日本という国のガバナンスに対する不信感を助長しているように思う。
まず、政府・与党の責任から考えよう。そもそも人事というのは、人事権者が自らの権限と責任において任命すればいい。特定の人物をなぜ任命したのか、なぜ任命しなかったのか、そんなことの説明は必要ない。それが人事というものだ。
日銀総裁の場合、人事権者は「内閣」である。ただし今回は、国会の同意を得なければならないという点で、通常の場合とは異なる。そうである以上、(特定の人物評などではなく)人事の意思決定をした枠組みについて、少なくとも2点説明する必要があるのではないか。
第1は、そもそも日銀の運営に当たって、政府としてどのような成果目標を求めるかだ。物価の安定、雇用の実現など、いったい現状の何を変える必要があると考えているのか。現状のままでいいのなら、現在の総裁、副総裁を再任すればいい。そうでないなら、新たに何を目指してもらいたいのか、明確にすべきだ。例えば、平成18年度までにデフレ克服をするはずだったのにこれが実現されなかったのだから、まずデフレ収束という成果目標を求めるべきではないか。
一方で、原油価格の上昇によるインフレ圧力が世界で高まっている中、インフレにしないという目標も重要になろう。要するに、通貨の番人として「インフレにもデフレにもするな」というのが、最低限求められる成果目標である。

