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【産経抄】1月30日
このニュースのトピックス:大阪府政
当時としては珍しくないが、文豪・夏目漱石は7人の子宝に恵まれた。結構、子ぼんのうでもあった。それでも夫人に第7子の妊娠がわかったときには少々うろたえたらしい。明治42年7月23日の日記に「無暗(むやみ)に子供が出来るものなり」と記している。
▼さらに「願くは好加減に出来ない方に致したきものなり」と殊勝な「決意」を示す。ところが続けて「もし鉅万(きょまん)の富を積まば二十人でも三十人でも多々益(ますます)可なり」と意気軒高である。金さえあれば何人でもいいぞと言うのだが、多少ヤケクソ気味にも聞こえる。
▼新しい大阪府知事になる橋下徹氏も3男4女、7人の父親である。「素敵なお父さん」に選ばれ「子供が迷ったときに、よりどころとなる父親になりたい」と語っていたという。選挙戦でも「子どもが笑う大阪」をキャッチフレーズに、子育て支援を訴え続けた。
▼38歳の橋下氏には「若すぎる」「政治の素人」との懸念が聞かれた。テレビでの過激な発言や「子育て」に偏ったような政策をめぐり毀誉褒貶(きょほうへん)も激しかった。しかしその「子だくさん」ぶりはおおむね好感を持って受け止められたようだ。圧勝の一要因との見方もある。
▼日本の人口は一昨年には、景気回復により結婚や出産が増えたことなどで、一時的に増加した。だが昨年は出生数の減少で再びマイナスに転じている。厚生労働省によれば「今後も基本的には人口減少傾向が続く」といい、極めて深刻な問題であることに変わりない。
▼むろん結婚や出産には人生観や宗教もかかわってくる。漱石の「鉅万の富」や経済的な子育て支援だけで解決する問題ではあるまい。だが「子だくさん知事」の奮闘により、少子化問題への関心が少しでも高まるのであれば幸いだろう。