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【主張】「ガソリン」国会 不毛な対立繰り返すな 党首会談で救国シナリオを
止まらぬ株安や原油高が国民の生活不安を加速している中、国会論戦が始まった。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は代表質問で、今国会を「生活第一・ガソリン国会」と位置付け、衆院の早期解散・総選挙を求めた。このままでは道路特定財源の揮発油(ガソリン)税の暫定税率維持か撤廃かを最大の争点にして、実りない対立と混乱がまた繰り返される。政権を競う自民、民主の二大政党はいま、何をすべきなのか。
国政の劣化を露呈し合うのではなく、「日本売り」という事態を回避しなくてはならない。両党に問われているのは日本をいかなる方向に導くかという基本政策であり、危機的状況を打開するための覚悟と知恵である。
自民党に求めたいのは、民主党との接点を模索する姿勢だ。両院の同意が必要な日銀総裁人事の行方が不透明となっているように、円滑な政策運営のためには、提出法案の成否見通しについて、政府側が今まで以上に吟味する作業が欠かせないからだ。
≪ねじれへ対応不十分≫
昨年7月の参院選で与党が過半数割れした時点で、その状況は生じていた。はじめに政局ありきの民主党の無責任な姿勢に問題があることは言うまでもないが、政府側の意識改革も不十分だと言わざるを得ない。
自民党の伊吹文明幹事長は代表質問で、各種世論調査で新テロ法の衆院再議決への支持が多くなかった点を「与野党すべてへの批判」と指摘し、政策協議の必要性を訴えた。そうであれば、すでに国会提出を準備した法案であっても、民主党との合意を模索する姿勢を具体的に示すときだ。
まず、福田康夫首相が小沢一郎民主党代表との党首会談を呼びかけ、「救国」のシナリオを作り上げてもらいたい。いま、日本が直面している問題、たとえば少子高齢化について、その打開のために国民といかに痛みを分かち合うかなどを話し合う。
財政健全化と改革の意思を明確にすれば、「日本売り」は避けられよう。これらの問題はいずれかが政権を担っても回答を出さねばならないはずだ。こうした国家の基本問題こそ、両党首脳だけでなく、国会が取り組むべきことだろう。
≪代わるものの提示を≫
懸案の道路特定財源の一般財源化問題についても議論すべきである。多くの国民は無駄な道路の存在を指摘しているのだから。
民主党は、福田内閣を「ガソリン25円値下げ」の問題で追い込み、政局流動化を図って政権交代を目指す方向だ。この政局至上主義には疑義を呈したい。
ガソリン税などの撤廃で約2兆6000億円の税収不足が生じることや、それにもかかわらず道路を整備するという矛盾した主張を繰り返しているのでは責任政党といえまい。
民主党が代わりうるものを提示してこそ国民は主張に耳を傾けるに違いない。政治を矮小(わいしょう)化してはならない。
ねじれ現象の下で政府・与党が政策運営に知恵をしぼり、民主党は現実的な立場から修正を求める。そのような姿こそ、通常国会の論戦に有権者は期待しているのではないか。
新テロ対策特別措置法では、民主党との協議の道が閉ざされていた以上、再可決による成立は適切な対応だった。しかし、ねじれ現象が当面、解消されないと予測されるからには、法案全般について両党が歩み寄ることが必要だろう。そうした歩み寄りが困難な場合、最終局面において国益や国民生活を守るために再議決を行うことは、憲法で規定されている以上、当然の行為といえる。
生活者が主役の行政への転換を掲げる首相は、明治維新や戦後の復興と並べて、国民一人一人が主役の社会への転換という考え方がビジョンだと述べた。個人の価値観、生活を重視するのはよいが、抽象的に過ぎないか。
社会保障に要する費用は増大し、大減税を行えるような台所事情にないことは、だれが政権を担っていても変わらない。厳しい財政状況が続くことについて、国民が一定の覚悟を持つことも必要だ。
歴史的な大転換期にさしかかっているだけに、首相には「覚悟の戦略」を語ってほしいのである。