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【主張】新テロ法成立 国際社会と共同歩調を 国益の実現に必要な再可決

2008.1.12 02:46
このニュースのトピックス主張

 インド洋でのテロとの戦いにようやく復帰することが決まった。傷ついた日本の信用は簡単には取り戻せないだろうが、国際社会と共同行動をとれる恒久法制定が急務である。

 今国会の最重要法案である新テロ対策特別措置法が成立した。それに先立つ参院本会議では野党の反対多数で否決されたものの、与党は憲法規定に基づき、衆院本会議で3分の2以上の賛成多数で再可決した。参院で否決された法案の再可決は57年ぶりだが、国益を実現するために憲法で定められた手続きを取ることに問題はない。

 民主党は、新テロ法成立に対し、当初検討していた首相問責決議案の提出を見送った。国の安全保障を政争の具にすることは問題であり、そのことへの批判が党内にもあったからだ。

 再議決は、来年度予算案に関連して揮発油税の暫定税率を維持するための租税特措法改正案なども対象になろう。与野党とも国民生活を混乱させる事態を招かないことを優先して知恵をしぼるべきである。

 民主党は政府・与党を早期の衆院解散・総選挙に追い込み、政権を奪取することを基本戦略にしている。だが国民のために必要な法案を成立させることこそが、政権を担える政党としての信を高めることにつながる。

 ≪傷ついた日本の信用≫

 政府は近く、海自派遣の実施計画を閣議決定、月内に海自補給艦などを出航させ、2月中旬にもインド洋での給油支援を再開させる方針だ。昨年11月2日にテロ対策特別措置法が失効し、海自艦が撤収してから、再開までに約3カ月要する。この間、日本の国際的信用が大きく傷つき、国益が失われたことを忘れてはなるまい。

 石破茂防衛相が「(給油活動中断で)パキスタン艦船は活動時間が4割減った。監視活動が密から疎になっている」と語ったように、海自の撤収は多国籍海軍の海上パトロールなどにダメージを与えた。喜んだのは、麻薬を積んで武器を買って戻るテロリストたちなのである。

 ペルシャ湾からインド洋にいたる多国籍海軍が守る海域は、中東に原油の9割を依存する日本にとって海上交通路(シーレーン)と重なる。

 ところが反テロ国際行動から脱落したことで、海自は海上テロなどの情報を共有できなくなってしまった。日本のタンカーは危うさの中に放置されていたといえる。多国籍海軍への給油支援は日本の死活問題でもある。

 国際社会は給油再開を歓迎しているが、それにとどまってはならない。日本は反テロ国際共同行動を担う能力と責務を担っている。日本が信頼できる国かどうかが試されてもいよう。

 ≪主権委任は筋が違う≫

 新テロ法の問題点は期限を1年間にしたことだ。海自の活動を給油・給水に限定してもいる。これでは国際社会の期待に応える活動はできない。期限切れが近づけば、また政争を繰り返そうというのだろうか。

 恒久法制定は待ったなしだ。海外で新たな事態が起きるたびに特別措置法を定めて自衛隊を派遣する現状を改め、国際平和協力をより迅速に行わねばならない。

 注目したいのは、民主党が新テロ法の対案としたアフガニスタン復興支援特措法案に恒久法整備の必要性が明記されたことだ。この法案は参院外交防衛委員会で否決されたものの、参院本会議で可決された。与党は衆院で継続審議とするが、恒久法作りへの合意を探ろうという狙いもあるようだ。

 ただ自民、民主両党間には溝がある。民主党の小沢一郎代表は自衛隊派遣の原則について、国連の決議のみとしている。小沢氏の見解は日本の主権を国連に委ねることを意味し、日米同盟関係を空洞化しかねない。

 小沢氏は「洋上補給は憲法違反」と論じていたが、民主党の対案では国連総会または安保理決議に基づくテロ対策海上阻止活動に「参加に必要な法制整備の要否を含め検討」としている。小沢氏の主張とは違いがある。民主党は安全保障政策での意思統一を明確に行っているのだろうか。

 恒久法作りを含め、与野党が国会審議を通じて妥協点を見つけることが立法府の責任である。国益を実現するための努力を重ねて求めたい。

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