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【クリントン訪朝】拉致問題置き去りの懸念 (1/2ページ)
クリントン元米大統領の訪朝に象徴される米朝関係の変化が注目される中、日朝関係と日本人拉致問題が置き去りになる懸念が強まっている。冷え切った日朝交渉の復活には6カ国協議再開が急務だが、米朝が「対話」を開始すれば6カ国の枠組みが変化する可能性もあるからだ。
米記者の解放は北朝鮮が「対米交渉の口実」として使ったためで、北朝鮮のこうした「人質外交」は、日本も金丸信・元自民党副総裁の訪朝団(1990年)で「第18富士山丸事件」の紅粉勇船長らの帰還、小泉純一郎元首相の訪朝(2002年)で拉致被害者5人の解放を経験済みだ。いずれも北朝鮮が日朝国交正常化交渉開始の突破口に使おうとした。
しかし、健康問題を抱える金正日総書記は、自国の安全保障を固めるための対米交渉を最優先にしており、日本を視野に入れていない。伝統的に北朝鮮外交は「通米封南」(米国と通じ韓国を封じれば、いずれ韓国や日本は米国に従う)が基本路線だ。
昨年8月、日朝実務者協議で合意した日本人拉致被害者の再調査は福田康夫前首相の退陣で白紙となり、麻生政権では日朝は全く動かなかった。また、米のブッシュ前政権が昨年10月、テロ支援国家指定を解除したこともあって、北朝鮮が対日政策に配慮する材料は霧消している。
北朝鮮筋によると今年2月25日、金総書記は「対日対南工作を中止せよ」との内部指令を発令、その後、対日部門の工作機関「対外連絡部」も格下げ縮小したという。「日本の対北政策に成果がないことを総括したもようだ」(同筋)。日本が安保理の核実験制裁決議をリードし、独自制裁を強化したこともあって、「北ルートは冷え切っている」(関係筋)。こうした経緯から金総書記はクリントン氏との会談で「日本人拉致問題には特段の反応を示さなかった」(米高官)わけだ。