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【主張】新駐日米大使 拉致解決の手助けを期待
オバマ米大統領が次期駐日大使にカリフォルニア州のビジネス系弁護士ジョン・ルース氏(54)を指名した。
日米関係で知名度や存在感はないが、「大統領と直接話せる」関係が強みだという。日米同盟は今、多くの課題を抱えている。その解決とさらなる発展に、オバマ氏とのパイプを生かしてほしい。
戦後の駐日大使の大半は知日派の学者、外交官、政界実力者で占められ、それが伝統ともなっていた。流れが変わったのは、ブッシュ前大統領が知日派でない盟友シーファー氏を起用してからだ。
シーファー前大使は「ブッシュ氏の寝室にも電話できる関係」とされ、日米政治への造詣の深さよりも大統領との親密度を優先した人事だった。今回の指名が「シーファー型」(米国務省)と呼ばれる理由もそこにある。
そのシーファー氏も、大使として着任当初は小泉純一郎政権下で起きた日中関係の険悪化に懸念を示し、靖国神社参拝問題に対しても批判的だった。
一方で、北朝鮮による日本人拉致問題では、人道上の強い問題意識と被害者家族らへの深い同情と共感を表明してきた。
横田めぐみさんの拉致現場を駐日大使として初めて視察し、横田早紀江さんら被害者家族とブッシュ大統領の面会を実現させる強い後ろ盾となった。いずれも「国民との触れ合いが重要」との持論に基づく行動だった。
北朝鮮のテロ支援国家指定解除問題では、米政府の決定を覆すには至らなかったものの、ブッシュ氏に親書を通じて強く再考を求めたことが知られている。
ルース氏は主に選挙資金調達を通じてオバマ氏の信任を深めたといい、論功行賞の指名であることは否めない。大使経験や政治人脈もない点は、確かに懸念材料とみられるだろう。豊富な政治・外交経験を買われて駐中国大使に指名されたハンツマン氏とも何かにつけて比較されそうだ。
だが、同盟の大切さを認識し、国民の間に分け入って問題意識や国民感情を共有する姿勢があるならば、駐日大使として期待できない理由はない。まずは前任者のように、拉致現場視察や被害者家族らとの面談をお勧めしたい。
来年、日米は安保条約改定50年を迎える。両国が協力して日米関係に新たなページを開く作業にも力を発揮してもらいたい。