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【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】(下)国際常識とかけはなれた憲法解釈 (1/3ページ)

2009.5.30 13:01
このニュースのトピックステロ特措法
イラク・サマワに派遣された陸上自衛隊。集団的自衛権の行使が禁じられていることによる矛盾は、現場の自衛官に負わされている=平成17年2月(AP=共同)イラク・サマワに派遣された陸上自衛隊。集団的自衛権の行使が禁じられていることによる矛盾は、現場の自衛官に負わされている=平成17年2月(AP=共同)

 こうした日本政府の集団的自衛権の憲法解釈は、国会では古くから問題として議論されてきました。ただ、冷戦時代は米ソ超大国による力の均衡で世界の安全保障が支配されていたため、日本がこれに加わらなくても許されていたので、解釈を見直さなくても済まされてきました。

 しかし、湾岸危機以降は、日本に対して世界の安全保障に「カネ」だけではなく、「人」の貢献も求められるようになりました。湾岸危機の際、政府・自民党内では集団的自衛権の憲法解釈見直しが検討されましたが、内閣法制局などの反対で結局、見直しは行われませんでした。そして、見直しを行わないまま、自衛隊などを多国籍軍の後方支援のために派遣する「国連平和協力法案」が提出されましたが、国会論議ではまさに憲法解釈と法案の矛盾が露呈して、廃案となりました。

 この結果、日本は多国籍軍への人的貢献は行わず、130億ドルものカネを出しましたが、国際的には「日本はカネだけで汗は流さない」と厳しい批判を浴びました。その反省から、「国連平和維持活動(PKO)協力法」が作られ、自衛隊が海外に派遣されるようになりました。さらに、2001(平成13)年の米同時多発テロでは、テロ対策特別措置法が作られてインド洋に、2003(平成15年)のイラク戦争では、イラク復興支援特別措置法が作られてイラクなどに、それぞれ自衛隊が派遣されました。

 ただ、これらの法律はすべて「集団的自衛権は行使できない」とする憲法解釈に基づいて作られているため、これに少しでも抵触する活動は一切禁止されています。たとえば、自衛隊が派遣された地域では、日本の部隊は他国の軍隊に守ってもらっていますが、他国の軍隊が攻撃を受けた場合は、日本の部隊は駆けつけて援護すると集団的自衛権に抵触してしまうため、できないのです。こうした国際的常識に合わない問題は山ほどあるのですが、その矛盾は派遣される自衛官に背負わされています。

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イラク・サマワに派遣された陸上自衛隊。集団的自衛権の行使が禁じられていることによる矛盾は、現場の自衛官に負わされている=平成17年2月(AP=共同)
『外交の戦略と志〜前外務事務次官・谷内正太郎は語る』(聞き書き:産経新聞政治部・高橋昌之)
谷内正太郎・前外務事務次官(瀧誠四郎撮影)

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