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【正論】日米の「共同対処」が試された 平和・安全保障研究所理事長 西原正 (1/3ページ)
日米安保5条想定の事態
去る4月5日、北朝鮮が発射した「人工衛星」という名目のテポドン2号(改良型)ミサイルは大気圏外で軌道に乗ることなく、太平洋に落下したようだ。この予告された発射は日本への直接的脅威となる可能性があったため、日米両国はこれに備えたわけだが、幸い大事には至らなかった。
今回のミサイル発射は、日米安全保障条約第5条の定めた事態、つまり「共同対処」の最初のケースになりえたのである。果たして日米同盟は期待通りに機能したのだろうか。両国はどうすべきだったのか。
まず、日米両国は安保条約第5条の「共同対処」をどこまで行ったのかという点である。
第5条には「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とある。今回の発射は名目上は「人工衛星」の打ち上げで、初めから日本への武力攻撃を表明したものではなかった。しかし、日本の「平和及び安全を危うくするもの」であることは明白だった。だからこそ日米はイージス艦やパトリオットを要所に配備して、「共通の危険に対処」する準備をしたのである。
ミサイル発射後の情報伝達および日米間の連携に関しては、同盟は見事に機能した。発射後、直ちに米国の早期警戒衛星が認知し、1分後には日本側に連絡があった。政府の地方への連絡も極めて迅速に行われた。
北の核威嚇抑止するには
しかし問題は、ミサイル発射に関して日米が異なる対処方針を示していたことであった。日本はミサイル、あるいはその一部が日本の領土に落下するようであれば破壊する(3月27日安全保障会議)が、米国に向かって飛んでいく場合には迎撃しないとした。いわゆる個別的自衛権の行使であって、集団的自衛権の行使を拒否したものであった。

