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【主張】春闘方針 雇用維持に労使で協調を
日本経団連が平成21年春闘の指針となる「経営労働政策委員会報告」をまとめた。副題は「労使一丸で難局を乗り越えて」と労使協調を前面に出す異例の表現だ。
米国発の金融危機に伴う景気の悪化はかつてないほど急だ。厳しい経営環境を乗り越えるには労使協力が不可欠な情勢である。
経労委報告は積極的な賃上げ姿勢を示した20年春闘から一転して「今次労使交渉・協議は雇用の安定に努力することが求められる」と雇用優先をうたった。
背景には、派遣やパートなど非正規社員の契約打ち切りだけでなく、雇用調整が正社員にまで広がっている現実がある。雇用調整の拡大は社会の安定維持の観点からも放置しておけない。経団連が雇用確保を経営者らに求めたのは至極当然だ。
報告書はまた、失業対策について政府の積極的な対応を求めた。製造業の派遣社員の多くは寮生活をしているため、失業と同時に住まいも失うケースが目立つ。麻生太郎首相は記者会見で、雇用促進住宅などを一時的に提供するといった緊急の失業対策を約束した。失業者救済のため、対策に万全を期すのは政府の責任といえる。
景気の悪化はまた、雇用保険や年金の未加入問題など非正規社員をめぐる安全網の不備も浮き彫りにした。
今や雇用者の3人に1人が非正規社員だ。このままでは将来の社会保障制度の維持も難しくなる。雇用制度全体の見直しも喫緊の課題である。
こうした経営側の春闘方針に対し、労働側はどうか。連合はすでに「物価上昇分に見合うベースアップで生活水準の維持と内需喚起につなげる」として「1%台半ば」の賃金改善を求める春闘方針を決めている。
しかし来年3月期決算の業績見通しは、大幅な減収減益を予想する企業が多い。増益の企業には積極的な賃上げを求めるのは当然として、賃上げが現実的要求かどうかの再検討は必要だろう。
連合も今回は対決より協調を重視し、非正規社員を含む雇用の維持に全力を挙げるべきだ。労働を分かち合うワークシェアリングを経営側に提案してもいい。
日本企業の特徴は安定した労使関係にある。いまこそ雇用の維持のため、その利点を春闘に生かしてほしい。