ニュース: 政治 RSS feed
【正論】「国籍付与」は国会の重い課題 衆議院議員弁護士・稲田朋美 (1/3ページ)
違憲判決で改正法案
だれに国籍を与えるか、だれを国民として認めるかは国にとって重大な問題である。だからこそ憲法10条は国権の最高機関である国会に広い裁量を認めている。国民は平等に扱わなければならないが、それは本来国民になってからの問題で、だれを国民と認めるかは立法の裁量であり、主権の問題である。
現在の国籍法の3条1項を最高裁は違憲とし、判決を受けて改正案が衆議院を通過し参議院で審議されている。現国籍法は、日本人の父が出生後認知した子(母親は外国人)は父母が結婚(準正)して初めて日本国籍を認め、単に父が認知しただけの場合は日本国籍を認めていない。判決はこれが憲法14条の平等の原則に違反するとした。さらに国籍法3条1項が「父母の婚姻」を要件としているところを無効とし、子に日本国籍を与えた。この判決は二重の意味で問題がある。
まず違憲とした理由である。規定ができた昭和59年からの我が国の家族の在り方の変化は、法律を違憲とするほどの変化とはいえない。さらに単に違憲を宣言するにとどまらず、最高裁が国籍法3条1項を読み替えて、国籍を付与したことは司法権の逸脱である。民主的背景のない裁判所による事実上の立法がなされてしまったのだ。
それでも最高裁は憲法解釈の最高権威であり、違憲立法審査権を持つ。最高裁が現在の国籍法を違憲とした以上、立法府はその判断を尊重しなければならない。しかしそのまま従うのではなく、立法府はその矜持(きょうじ)を示して最高裁の判断を尊重しつつ、さまざまな場合を想定して慎重に審議し、国籍付与を立法府の裁量としたことを意味あることとすることが求められる。
DNA鑑定は慎重に
今回改正について多くの反対意見が寄せられた。ほとんどが偽装認知の横行への不安から、DNA鑑定を必須条件にせよというものだ。偽装認知は防がなければならない。だがDNA鑑定を要件とするのは、日本の家族法制度に変容をきたす恐れがないか慎重に検討しなければならない。

