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【塩爺のよく聞いてください】元財務相・塩川正十郎
■全治3年対策 首相に提案
20カ国・地域(G20)の首脳による金融サミットがワシントンで開かれ、国際社会が金融危機対処に向けた協調の第一歩を踏み出した。世界が一体となって取り組むグローバル化の時代に入ったことも証明された。その政治的、経済的な意義は大きい。
しかし、結果にはいささか疑問が残る。直前にブラジル・サンパウロで開かれたG20の財務相・中央銀行総裁会議の延長線の域を超えず、新味に欠けていたのではないか。
あえて言う。日本にはまず、やるべきことがある。国際協調体制の構築に先行し、米国の経済再建に力を尽くすことだ。麻生太郎首相が一日も早くオバマ次期大統領に会い「日本が同盟国のためにやったる」と言って、具体的かつドラスチックな支援策を約束すれば、どれだけ米国に励みになるか。オバマ時代の日米関係に大きくプラスに作用するに違いない。
さて、麻生内閣が「全治3年」の回復策を打ち出したことは適時打だった。かつて橋本内閣の行政改革を応援するために財界有志や閣僚経験者、指定官職であった人々が集まり、700人委員会を立ち上げて種々政策提言を行った。行革の核心は公務員制度と地方分権にありとして、行政のスリム化と政官癒着解消のための諸施策を建議してきた。最近、私を含めたそのメンバーの有志が独自の全治3年対策として提案をまとめたので、披露したい。
まず定額給付金の目的は低所得者支援として3カ年継続し、取り扱いは市町村を窓口とするとした。特別地方交付税経由で支給し、支給対象は住民税を基準とし世帯主の住民税納付実績に基づくようにする。定額納付の低所得世帯は1人10万円、所得割課税で10万円以下の所帯では1人5万円とする。それ以上は支給しない。
また、世帯主が65歳以上で昭和30〜40年代建築の公営住宅居住者の家賃は全額無料とする。なお、これら老朽住宅は将来、計画的に環境にやさしい住宅にすることに協力してもらう。この事業は公有財産の活用を通じて経済の活性化につながる。
さらに消費を刺激するために企業の交際費非課税限度額を3カ年に限り、毎年800万円引き上げる。企業は浪費せず事業や従業員対策などで有効に支出するであろうと信頼しての措置である。
資産をもつ老齢者の流動性資産活用のために生前贈与の110万円免除を3カ年で1回限り600万円に引き上げ、祖父の退蔵資産を子や孫に継承するようにする。
一方、麻生首相の指示で中小企業対策として信用保証の大幅な増枠が決まったことには賛意を表したい。増枠による貸出金を銀行が既存貸し付けの返済に流用しないよう厳しく条件をつけることが肝要である。あくまで新しい真水を供給する資金として経済が生き返ることに役立ててもらいたい。
今回の政府の景気対策は、いわゆる埋蔵金でやりくりするそうである。埋蔵金の活用に際し、政府は国債発行と同等の負担と責任を負うものと心得、特別会計の合理化と管理に努力すべきである。増税による補填(ほてん)で安易に解決してはならない。
粗雑な提案にご批判を請う。
(しおかわ まさじゅうろう)

