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「アフガンから逃げるな」外交評論家・岡本行夫氏 (3/5ページ)

2008.9.19 10:34
このニュースのトピックス国会
岡本行夫氏岡本行夫氏

 多国籍艦隊はその2つの地域の交流を遮断するためにソマリア沖に展開している。海上自衛隊が行っている洋上補給は、アメリカを支援するためのものではない。日本自身のためである。世界が安全にならなければ、日本だけ安全とはならないからだ。

 日本人だけがテロの圏外に立つことはできない。1997年にはエジプトのルクソールで10人の日本人観光客がテロリストに殺された。9・11米中枢同時テロでは24人の日本人が世界貿易センタービルで殺された。逆にテロリストになったケースもある。岡本公三たち3人の日本人は、72年にテルアビブの空港で旅客など24人を殺害した。77年のダッカ事件もある。テロは国際的な広がりを持つ。

使命感

 89年6月の天安門事件。学生たちと人民解放軍の衝突により北京が大混乱に陥る可能性がでてきた。そうなれば、邦人の緊急避難が必要になる。航空会社にその場合の救出を頼んだが、組合が「うん」と言ってくれない。そのとき外務省に勤務していた私は、やむなくアメリカに邦人救出の可能性を打診した。返事は直ちにきた。「最大限の協力をする。避難する人々を1カ所に集められるか?」。幸いこの計画はそれ以上具体化されずに済んだが、打てば響くようなアメリカ政府の対応に、彼らの使命感を教えられた。

 日本でも強い使命感をもつ一線の公務員は少なくない。87年、イラン・イラク戦争の激化によりペルシャ湾航行が危険になった。民間船舶護衛のための多国籍艦隊を組織するので日本も参加してほしいとの要請がアメリカからきた。

 自衛艦派遣は政治的に無理だったが、海上保安庁が応えてくれた。日本船舶支援のためにペルシャ湾まで巡視船が出動する計画が作られたのである。海上保安官たちの決意は橋本龍太郎運輸大臣に伝わり、橋本氏は「自分が最初の巡視船に乗っていく」と言明した。中曽根康弘総理大臣も計画を了承した。主導するのは政治である。

 この計画は後藤田正晴官房長官の強い反対で消えたが、日本船舶を守るために1万2000キロのかなたまで巡視船が出動する態勢が組まれた事実は残った。ホルムズ海峡を通って北上すればペルシャ湾、通らずに西進すればソマリア沖に到達する。

 自衛隊員も、命令さえ下れば士気は高い。ひとたび海外に派遣された隊員たちの使命感と仕事ぶりは、現地の称賛を浴びる。

同胞を守る

 「自衛隊は危険のない場所にだけ行く」というのが、国会審議で確立された大原則だ。しかし国民全員が危険に近寄らないのでは、日本は国としてやっていけない。結果として、そのような地に行くのは、身を守る手段を持たない人々だけになる。

 アフガニスタンにはJICA(国際協力機構)やNGO(非政府組織)の日本人がいる。アフガニスタンで活動する各国の援助関係者の多くは、「PRT(地方復興チーム)」という仕組みの下で、自国の軍や警察によって守られている。27の国際チームがこうした方式で活動している。日本の専門家を警護するチームは、もちろん派遣されていない。

 バグダッドには外務省の職員がいる。危険なので自衛隊はいないから、日本大使館を守るのはイラク人のガードマンだ。バグダッドで自国の部隊が守っていない大使館は日本だけである。

 援助関係者など100人の日本人が既に住んでいるアフリカのスーダンの首都ハルツームに2、3人の自衛官を派遣するための安全確認などの作業は大変で、大型の調査チームまで送られた。しかし、国連から要請を受けて半年近く、今も派遣は実現していない。

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