ニュース: 政治 RSS feed
【話の肖像画】「反日」「嫌韓」って何だ(2)早稲田大客員研究員・洪ヒョンさん
■日本人にもある「誤解」
−−日本では、《韓国は右派も左派も「反日」になると足並みをそろえる。「歴史問題はもう持ち出さない」と言ったはずの大統領も、国内問題で窮すると「反日カード」を持ち出す》といった疑念が消えません
洪 多くの日本人が「反日」に対して、間違った認識を持っていると思います。「反日」の理由を「植民地統治への記憶」と考えているでしょうが、そればかりではない。「その記憶を忘れるな」「復讐(ふくしゅう)せよ」と偏狭な民族主義や共産主義のイデオロギーをもって煽(あお)り続けている勢力こそが問題なのです。それに反論しようものなら“親日分子”のレッテルをはられ、徹底的に攻撃されるから怖くてできない。「反日」を政治的に利用した指導者も、最近10年の左翼政権の時代を除けば、実はそんなに多くはないと思います。
ところで日本で最も“嫌われている、反日的な”韓国の大統領は誰ですか?
−−おそらく竹島を含めた「李承晩ライン」を一方的に設定して日本漁船を拿捕(だほ)しまくった初代大統領でしょうね
洪 私は、李承晩大統領は韓国を自由民主主義の近代国家にしようとした偉大な功労者だと思います。反対に、日本で伊藤博文は近代化の功労者ですが、韓国では嫌われている。両国民が、こうしたことを認め合うことができれば、必ずや「感情」は乗り越えられます。
また、両国関係の戦略的発展のために、いろんな人が努力したことが正しく評価されていません。1965年、今より反日感情が激しくて当たり前のときに朴正煕大統領は日韓国交正常化を断行し、高校で日本語を教えることを決めました。現在も世界で日本語を学んでいる学生が最も多い(人口比で)のは韓国なんですよ。そんなことを日本のメディアは無視します。
−−日本では、朴大統領は軍事政権で強権的な政治を行い、「金大中事件」(73年)を起こした、というイメージがいまだに強いですね
洪 金大中政権が誕生したとき、多くの日本人は歓迎しました。それは今も「金大中氏は民主化のシンボルだ」という“誤った”認識があるからです。韓国ではソウル五輪(88年)を機に“民主化”の名を借りた左傾化が一気に進みました。その左傾化の実情や「反日」の増幅に日本人は気づかなかったのです。(喜多由浩)
◇
【プロフィル】洪●
ホン・ヒョン 1948年、韓国・ソウル出身。陸軍士官学校卒。3度の駐日韓国大使館勤務を経て、2004年から早大客員研究員。
●=榮の木を火

